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かぼちゃの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「かぼちゃ」。かぼちゃの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「かぼちゃ」とは?基本の3種類とその栄養や食感の違い

「かぼちゃ」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー1にあたる食品です。

(※1)「かぼちゃ」はウリ科カボチャ属の野菜で、緑黄色野菜というカテゴリに属します。野菜の中でもトップクラスの栄養価で、特にカロテンが豊富です。皮や種にも豊富な栄養素が含まれており、調理法を工夫することで効果的に栄養が摂れる野菜です。

かぼちゃには以下のような種類があり、含まれる栄養も種類によって異なってきます。一般的な食用として流通しているかぼちゃには主に下記3種類があります。

西洋かぼちゃ

(※2)現在の日本では、食文化の洋風化に伴い西洋かぼちゃが主流です。甘みが強く、ほくほくした食感が特徴です。日本かぼちゃと比較して、カロテンが多く含まれている特徴もあり、かぼちゃの中でも栄養価が高い品種といえます。

日本かぼちゃ

日本かぼちゃは粘質でねっとりとした食感が特徴のかぼちゃです。味はあっさりしており、醤油と相性がよく、煮物などの日本料理に適した品種です。

ぺぽかぼちゃ

ぺぽかぼちゃは淡白な味わいで、そうめんかぼちゃやズッキーニの仲間です。食用ではなく、ハロウィンなどのイベントで使用されることもあります。

「かぼちゃ」を冬至に食べるのはなぜ?

(※1)かぼちゃは夏に収穫される野菜ですが、なぜ12月の「冬至にかぼちゃ」といわれているかご存知でしょうか?かぼちゃは貯蔵がきく野菜で、カットしなければ2〜3か月の保存が可能です。また、追熟する特徴があるため、保存期間をもった方が水分が抜けて栄養価が高くなり、甘みも増します。そして、ちょうど12月の冬至の時期には、カロテンが多く含まれる夏野菜が手に入りにくい時期に入ることもあり、冬場の貴重な栄養源として冬至にかぼちゃが食べられるようになりました。

「かぼちゃ」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「かぼちゃ」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

西洋かぼちゃ100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー 78kcal
水分 76.2g
たんぱく質 1.9g
脂質 0.3g
炭水化物 20.6g
カリウム 450mg
カルシウム 15mg
葉酸 42μg
ビタミンC 43mg
食物繊維:3.5g
糖質:17.1g

一般的な野菜のなかでもカロリーは高いといえます。

一般的な「かぼちゃ」の1個(可食部)が1.4kg程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。

かぼちゃに含まれる栄養1:β-カロテン(ビタミンA)

(※3)かぼちゃにはβ-カロテンが3900μg含まれており、他の野菜と比較してもかなり豊富に含まれています。β-カロテンは油と一緒に摂ると吸収率が上がるため、効果的に摂取したい場合は炒め料理や煮込み料理にして食べましょう。また、皮には果肉以上にβ-カロテンが豊富に含まれているため、皮ごと調理することをおすすめします。

体内に入ったβ-カロテンはビタミンAに変わります。ビタミンAは皮膚を保護する働きがあるため、

・肌荒れ
・ニキビ

などの改善が期待できます。

また、β-カロテンには強い抗酸化作用も備わっており、老化の原因を抑える働きもあります。β-カロテンの摂取は、美容にも効果的ですね。

かぼちゃに含まれる栄養2:ビタミンE

(※1)ビタミンEも、かぼちゃに特に豊富に含まれる栄養素のひとつです。強い抗酸化作用をもつビタミンで、体内の脂質の酸化を防ぐ働きがあります。

・血行促進
・冷え性の予防
・動脈硬化・血栓の予防

などに効果的といわれています。

かぼちゃに含まれる栄養素3:ビタミンC

ビタミンCは肌の調子を整えるビタミンで、特に女性にとっては、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑制することで知られています。また、ビタミンCは歯や骨の健康を保ち、血管を丈夫にすることで、動脈硬化を防ぐ効果も期待できます。老化の原因とされている、活性酸素を分解する働きもあるため、積極的に摂取をしたいビタミンです。

本来ビタミンCは熱で壊れやすい特徴があります。しかし、かぼちゃに含まれるデンプンがビタミンCを守ってくれるため、加熱しても壊れにくい特徴があります。

かぼちゃに含まれる栄養素4:ビタミンB1、B2

(※4)かぼちゃに含まれるビタミンB1とB2は糖質や脂質のエネルギー代謝を活発にしてくれる特徴があります。

・疲労回復効果
・口内炎の予防・改善

などに効果的といわれています。

かぼちゃに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

(※5)フィトケミカル(ファイトケミカル)は、かぼちゃに多く含まれています。特に、かぼちゃに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は1つで

・β-カロテン

です。

β-カロテンはオレンジ色または黄色の色素で、視力や皮膚の健康を維持する働きがあり、美容にも効果的です。

「かぼちゃ」はダイエット向きの食材?

西洋かぼちゃ100g当たりのカロリーは78kcalと高く、糖質も多いことからダイエットには向かない食材といえます。

しかし、食物繊維が多く含まれていることから便秘解消に効果があり、総合的に栄養価が高い野菜のため、ダイエット中であってもカロリーオーバーにならないよう注意しながら、上手に取り入れることをおすすめします。

「かぼちゃ」の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

かぼちゃの栄養を逃さない!おすすめの調理方法

・油と合わせる  ★★★
・煮る      ★★☆
・炒める     ★★☆

かぼちゃには、本来加熱に弱い栄養素も含まれています。しかし、かぼちゃに含まれるデンプンが熱に弱い栄養素を守る働きがあるため、加熱調理しても栄養を効果的に摂取できます。また、かぼちゃに豊富に含まれるβ-カロテンやビタミンEは脂質との相性がとても良く、一緒に食べることで吸収されやすくなります。油を使う炒めものや、ドレッシングと合わせることもおすすめです。

「かぼちゃ」栄養価を失わない正しい保存方法

かぼちゃを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。かぼちゃは丸ごとの状態と、カットした状態では保存期間が大きく変わりますので、状態に合わせた適切な保存方法が求められる食材です。

<丸ごとの場合> キッチンペーパーや新聞紙にくるみ、冷暗所で2〜3か月の保存が可能です。かぼちゃは追熟するため、保存期間をもつことで甘みが増す特徴があります。(※6)

<カットした場合> 水分を多く含む種とわた部分から傷み始めるため、必ずきれいに取り除く必要があります。冷蔵と冷凍では、保存可能期間が異なります。

・冷蔵の場合は、ラップでくるみ、野菜室で1週間程度の保存が可能です。
・冷凍の場合は、ラップでくるんだ上に保存袋に入れ、1か月程度の保存が可能です。

冷蔵、冷凍のどちらの場合であっても、カットした瞬間から傷みやすく、栄養素が失われやすい状態に変わりありません。保存期間の目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。