- 実がなる野菜(果菜類)
スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「トマト」。トマトの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「トマト」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。
「トマト」は南米を原産地とするナスやじゃがいもと同じナス科ナス属の植物です。日本では観賞用として江戸時代に輸入され、食用として利用され始めたのは明治時代といわれています。夏野菜として有名なトマトですが、ハウス栽培が流通した現在では寒い地域でも盛んに栽培が行われており、国内の生産量第2位は北海道です。またトマトは栄養価や色味から緑黄色野菜のカテゴリーに分類されます。(※1,2)
世界中で食べられるトマトには10,000以上の種類があり、日本国内だけでもその数は300種類以上といわれています。トマトは大きさや甘さで名称が異なったりしますが、実は規格は目安となっていて明確な分類はありません。色や大きさなどで下記のようにさまざまな分類がされています。(※1,2)
・大玉トマト 目安の大きさ:約100g以上
一般的に100g以上のトマトを大玉トマトといいます。日本では生で食べる桃色系が主流で、甘さと酸味のバランスがいいのが特徴です。代表的な品種には「桃太郎」や「麗容(れいよう)」などがあります。(※1,2)
・中玉(ミディ)トマト 目安の大きさ:30~60g程度
大玉トマトとミニトマトの中間くらいの大きさをミディアムトマトとよび、最近では出荷数も増えスーパーでもよく見かけるようになりました。甘みが強く色合いが鮮やかな品種が多いのが特徴で、「フルティカ」や「ルネッサンス」などが主流です。(※1,2)
・ミニトマト 目安の大きさ:10~30g程度
一口サイズのトマトで、やや酸味が強くビタミンCが豊富です。プチトマトやチェリートマトと呼ばれることもあります。お弁当に入れるのにちょうどいいサイズ感で消費が伸び、現在ではミニトマトの市場の取引額が大玉トマトを抜き1位となっています。(※1,2)
・桃色系トマト:主に生食用に利用される一般的なトマト
・赤トマト:トマトジュースやホール缶など主に加工用のトマト
・黄色や緑色などのさまざまな色のトマト(※1,2)
・フルーツトマト
特別な栽培方法で作られた糖度の高いトマトがフルーツトマトです。水やりを減らしたり肥料の吸収を抑えたりすることで、甘みを凝縮させて作ります。フルーツトマトにも明確な基準はないですが、一般的には糖度が8度以上のものが多いです。通常のトマトが4〜6度なのでかなり甘みが強いトマトだとわかります。(※3)
・ファーストトマト
1980年代までは桃色系トマトの主流だったトマトで傷みやすく、品種改良が進み新しい品種の登場したことで現在では出荷量が年々減っています。しかし、皮が薄くゼリー状の部分が少ないファーストトマト独自の食味は現在でも根強い人気があります。(※1,2)
生で食べても加熱しても美味しいトマトは栄養素が豊富な緑黄色野菜のひとつです。カロリーも低く、ビタミン類やミネラルに加え、食欲増進効果がある酸味成分のクエン酸など積極的に摂りたい栄養素をたくさん含んでいます。さらにトマトには熱で吸収量が増すリコピンも多く、その多用な効果が注目されている成分です。(※1,2)
それでは「トマト」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 20kcal
水分 94.0g
たんぱく質 0.7g
脂質 0.1g
炭水化物 4.7g
カリウム 210mg
カルシウム 7mg
葉酸 22μg
ビタミンC 15mg
食物繊維:1.1g
糖質:3.6g
(※4)
一般的な野菜のなかでもカロリーは低いといえます。
一般的な「トマト」1個が150g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。(※5)
トマトには皮膚や細胞のコラーゲンの合成に必須のビタミンCが豊富に含まれています。強い抗酸化作用があり、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑えるなど細胞の保護に大きく関わっています。人の体内では合成ができないため積極的に摂取したい栄養素です。大玉トマトよりもミニトマトに多く含まれ、下記のような値になっています。(※4,6)
ビタミンCの摂取量目安(推奨量):成人男性・女性共に1日あたり100mg
・ビタミンC含有量(㎎/100g)
ミニトマト:15
トマト:32
(※4,15)
ビタミンCと同じく、強い抗酸化作用を持つビタミンEもトマトには含まれています。脂溶性ビタミンで、細胞膜の保護や脂肪酸の酸化防止、赤血球の防御などの働きから老化防止に効果があるといわれています。(※4,15)
野菜や果物に豊富なカリウムもトマトで摂ることができます。カリウムはナトリウムと共に心臓機能や筋肉機能の調整をしている水溶性の栄養素です。またナトリウムを尿中への排泄を促進する働きがあり、血圧を下げる効果があるため高血圧予防に効果があるといわれています。
酸味成分であるクエン酸も多く含まれているのもトマトの特徴です。糖質の代謝に関わり、食欲増進作用があるので夏バテに効果があるといわれています。(※4,2)
葉酸は、赤血球の生産を助ける働きから造血ビタミンとも呼ばれています。DNAなどの遺伝子細胞に関する細胞の生産・再生にも関わることから体の発育にも重要なビタミンです。そのため妊娠前や妊娠早期から積極的な摂取が推奨されていることでも有名です。また心疾患の予防に効果が期待されています。(※4,11)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
トマトには水に溶けにくい脂溶性の性質を持つカロテノイドのフィトケミカル(ファイトケミカル)を多く含んでいます。カロテノイドは海藻や緑黄色野菜に豊富に含まれる色素の総称です。トマトに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで
・β-カロテン
・リコピン
です。β-カロテンは動物や人間の体内でビタミンAに変わり、その効果を発揮します。薄暗いところで視力を保つ働きや発がん物質の活性を軽減するといわれています。(※1,2,4,13)
トマトの代表的な栄養素リコピンは鮮やかな色素のフィトケミカル(ファイトケミカル)です。リコピンは加熱により吸収率がアップすることで知られ、脂溶性のため油との相性がいいことが特徴です。効果としては強力な抗酸化作用を持ち、善玉コレステロールの増加や前立腺がんなどのがん、心疾患のリスクが低下するともいわれています。(※1,2,4,12)
赤色トマト100g当たりのカロリーは20kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。
食物繊維も多く含まれ、手軽に食べやすく栄養価も高いのでダイエット中の方におすすめの食材といえます。(※4)
トマトの栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・生食 ★★★
・煮る ★★★
・炒める ★★★
・茹でる ☆☆☆
加熱調理に強い栄養素が含まれていますが茹でたりするとフィトケミカル(ファイトケミカル)の流出につながります。スープや鶏のトマト煮、またパスタなどに入れスープやソースまで食べる方がいいでしょう。また油との相性がよく、リコピンの吸収率をアップしてくれるのでオリーブオイルなどで炒めてから野菜と煮るラタトゥイユもおすすめです。ビタミンやミネラルを効率よく摂りたいときはサラダやミニトマトのマリネなど、生で食べましょう。(※2,12)
トマトを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にトマトは水分が全体の約94%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。(※4,14)
<冷蔵庫保存の場合> 通常のトマトは皮が薄く弱いため、寒さと衝撃に注意が必要です。1個ずつキッチンペーパーで包みジッパー付きのポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室に入れておくと7日〜10日ほど長持ちします。(※14)
<冷凍保存の場合> ヘタを取って、刻むか丸ごとのままラップに包み冷凍し調理用に使いましょう。1か月程度は保存が可能で、刻んでおけば必要な分だけ使えるので便利です。(※14)
食材は冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきますので、こちらも1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。