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妊婦さんが積極的に摂りたい!必要な栄養素を多く含む食べものとそのカロリー

十月十日(とつきとおか)という期間、胎児は母親から栄養をもらってどんどんと成長していきます。妊娠中の食事は母親の体の健康だけでなく、胎児の成長のためにも非常に重要です。本記事では、妊婦さんが積極的に摂りたい栄養素とその栄養素を多く含む食べものについて詳しく解説します。各食材のカロリーも紹介しているので、妊娠中の献立選びのヒントにしてくださいね。

妊娠中の食事が大切な理由

胎児は、お母さんのお腹のなかで10ヶ月という期間をかけて育っていきます。お母さんが摂取した食べものや飲みものに含まれる栄養は消化されたあと血液中に入り、胎盤から胎児に届きます。妊娠中は“自分の食べたもので胎児が育つ”という意識を持ち、いつも以上に食事に気を配っていきましょう。

食べすぎ&カロリーオーバーに注意!

妊娠中はしっかり栄養を摂取する必要がありますが、一方でたくさん食べればよいわけではありません。胎児や胎盤、羊水、子宮や乳房の重さが加わるため妊娠中の体重増加は自然なことですが、増えすぎるのはNG。太りすぎると妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病などのリスクや難産傾向、分娩時に麻酔を入れづらくなるといったトラブルが生じやすくなります。栄養は摂取しつつ、かつ適切なカロリーを守りながらバランスよく食事をとる必要があるのです。

妊娠中に摂取すべき1日の栄養素

妊娠中に必要とされる1日の栄養素は、妊娠のステージによって異なります。妊娠期間を初期、中期、後期に分けてそれぞれ見ていきましょう。

妊娠初期

つわりで苦しむ妊婦さんが多い妊娠初期は、非妊娠時と比較してもそこまで多くの栄養を摂る必要はありません。食べられないときは無理をせず、可能な範囲で栄養を摂取していきましょう。固形物を受け付けない場合は、サプリメントで葉酸などを補給するのも一案です。

妊娠中期

胎児がぐんぐんと成長し、妊婦さんの体調も比較的落ち着きやすい妊娠中期。鉄分ビタミンCを摂取しながら、非妊娠時から+250kcalで留めましょう。

妊娠後期

胎児が日増しに発育し、生まれてくる最終段階に入る妊娠後期。より多くのエネルギー量が必要になりますが、同時に妊娠高血圧症や妊娠糖尿病になる妊婦さんも多くなります。たんぱく質や鉄、ビタミンAなどを含むバランスの良い献立で、残り約3ヶ月間の妊娠生活を乗り切りましょう。

積極的に摂りたい!妊婦さんに必要な栄養素と含有量の多い食べもの

妊娠中には胎児の成長と母体の健康のために、さまざまな栄養素が必要となります。ここからは、妊娠中に重点的に摂りたい7つの栄養素をご紹介します。それぞれの栄養素を多く含む食べものとカロリーについてもチェックしていきましょう。

①鉄分

体内に酸素を運び届ける「ヘモグロビン」の成分となる鉄分は、胎児だけでなく妊婦さんの健康維持にも必要な栄養素です。非妊娠時と比べて血液量が大きく増えること、さらに体内にある鉄が胎児へと優先的に送られることから、妊娠中は貧血になりやすいと言われています。貧血状態が続くと血中の酸素量が減り、ひどい場合には胎児にまで影響を及ぼします。レバーやあさり、ほうれん草などから摂取しましょう。

②カルシウム

妊娠中から産後の授乳時は多くのカルシウムが胎児(子ども)に運ばれるため、骨量が低下し、骨粗しょう症になりやすいと言われています。骨密度は将来の健康寿命にも影響するため、妊娠中からしっかりカルシウムを摂取していきましょう。もっともおすすめなのは、栄養価を逃さずに摂取できる牛乳です。

③たんぱく質

胎児の成長に大きく貢献するたんぱく質。胎児の筋肉や骨、皮膚などを作るのに必要となる栄養素なので妊娠初期からしっかり摂取していきましょう。

④葉酸

胎児の先天異常の一種である「神経管閉鎖障害」のリスク減少にもつながる葉酸は、妊娠中はもちろん、妊娠前から積極的に摂取すべき栄養素です。胎児の成長においても、脳や神経を形成する重要な栄養素なので非妊娠時の倍量を目標に摂取していきましょう。

⑤食物繊維

ホルモンの影響や運動不足、大きくなった子宮に腸が圧迫されるなどの影響により、妊娠中はいつも以上に便秘になりやすいと言われています。とくに妊娠中期以降は、便を柔らかくしたり、便通をよくしたりする食物繊維をたっぷり摂取していきましょう。

⑥ビタミンC

胎児の骨や血管を強くしたり、妊婦さんの免疫力を高める効果のあるビタミンCも積極的に摂取したい栄養素です。ビタミンCは加熱や水洗いによって栄養価が失われやすいため、なるべくサラダやスープで取り入れていきましょう。

⑦ビタミンA

妊娠後期に積極的に摂取したいビタミンAは、免疫力を高める効果が期待できます。妊娠中は免疫力が下がり、風邪や感染症をもらいやすくなる時期。ビタミンAで予防していきましょう。

妊娠中に意識したい食事のポイント

妊娠中は必要なエネルギーや栄養素を摂取するのはもちろん、妊娠高血圧症や妊娠糖尿病などにかからないようカロリーや塩分量にも注意しなければなりません。非妊娠期と比べて物足りなさを感じることもあるでしょう。

そんなときは、調理時のひと手間がポイント!無水調理や蒸し料理など、油を使わなくてすむ調理法を選ぶと、油のカロリーをカットできます。また、塩分量が気になる場合には塩や醤油などの調味料ではなく、昆布や鰹節などの天然の出汁を使うのがおすすめ。旨み成分によって少ない調味料でも奥行きのある味わいになります。

妊娠中はつわりや胃のむかつき、便秘など体調が優れない日も多いもの。食事がとれない日は無理をせず、食べられるものをいただきましょう。野菜不足や栄養の偏りが気になる場合には、手軽に野菜不足を補える「飲む粉野菜」を取り入れるのも良いでしょう。9種類の無農薬野菜をカプセルにぎゅっと凝縮しており、無理なく、そしてバランス良く緑黄色野菜を摂取できます。

自分の健康と赤ちゃんの成長のために、しっかり栄養を摂っていきましょう。

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。