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妊娠中期・妊娠後期の足のつりとむくみを緩和する食べ物とレシピ5選

妊婦さんの多くが経験する「足のつり」や「むくみ」。とくに、お腹が大きくなる妊娠中期から後期にかけて症状が出やすく、寝不足や運動不足による体重増加などの原因にもなります。本記事では、妊娠中の足のつりとむくみを緩和する食べ物について詳しく解説。症状緩和に効果的なマグネシウム&カリウムの含有量の多い食べ物と、栄養素を美味しく摂取できるレシピをご紹介します。

妊娠中期、後期に足がつる&むくみが生じるのはなぜ?

妊娠中期や後期になると、足のつりやむくみを感じる妊婦さんが増加します。まずは、妊娠中に生じる足のつりとむくみについて、それぞれの原因を見ていきましょう。

妊娠中に足がつる理由

妊娠中に足がつる理由には①体重増加による足への負担増加、②子宮が大きくなることによる血流の悪化、③マグネシウムやカリウムの不足の大きく3つの理由があります。とくに、胎児がぐんと成長する妊娠中期から後期にかけては、大きくなった子宮が大静脈を圧迫します。結果的にふくらはぎや足元の血流が滞り、足がつりやすくなるのです。

妊娠中に足がむくむ理由

足のむくみ(浮腫)は、多くの妊娠さんに現れる症状のひとつ。通常時よりも足や足首などの組織に体液が貯留してしまい、全体が腫れぼったくなった状態です。妊娠中のむくみは①ホルモンバランスの変化、②水分量の増加による血液の薄まり、③血流の悪化、④マグネシウムやカリウムの不足などが原因で起こります。前述したように、妊娠中期から後期にかけては胎児の成長に伴って子宮も大きく広がります。これにより大静脈が圧迫されて足の血流が滞り、足がむくみやすくなるのです。

胎児に影響はない?足がつる、むくむことによる影響

足のつりは、立っているときだけでなく眠っているときにも生じます。睡眠中は足が冷えたり圧迫されたりしやすいため、余計に足がつりやすくなってしまうのです。なかには「妊娠後期はほぼ毎晩足がつっていた……」なんてケースも。夜間の足のつりが寝不足につながるケースも少なくありません。

また、妊娠中に足のむくみがひどくなると、足がだるくなって運動が億劫になることもしばしば。運動不足による急激な体重増加が胎児や母体の健康状態、分娩に影響する可能性も考えられます。

妊娠中の足のつりやむくみは基本的に問題ないとされており、経過観察となるケースがほとんどですが、なかには妊娠高血圧症などの病気が隠れているケースもあります。症状がひどい場合や不安な方は必ずかかりつけ医に相談しましょう。

足のつりとむくみを緩和する食べ物とは?

前述したように、足のつりやむくみは「マグネシウム」と「カリウム」の不足によって生じることがあります。マッサージや運動、生活習慣の改善なども有効ですが、足りない栄養素を補って“中から”改善を促すことも大切です。足のつりやむくみ緩和につながる、マグネシウムとカリウムを多く含む食べ物をチェックしましょう。

マグネシウムの働きと含有量の多い食べ物

マグネシウムは、骨の形成や代謝のサポートなどの働きをもつ栄養素です。妊娠中は非妊娠時よりも多くのマグネシウムを摂取しなければならないため、海藻類や玄米、ほうれん草などを積極的にとって効率よく摂取していきましょう。なお妊娠中のマグネシウム不足は、胎児の発育やつわり症状などにも影響すると言われています。

・あおさ
・ひじき
・玄米
・アーモンド
・ほうれん草

カリウムの働きと含有量の多い食べ物

カリウムには体内に溜まったナトリウムを排出する効果があり、むくみや高血圧の改善に効果的です。カリウム不足は脱力感や食欲不振、筋力低下の原因にもなるため、しっかり補っていきましょう。

・アボカド
・かぼちゃ
・さつまいも
・木綿豆腐
・牛乳

足がつる&むくみ人はチェック!おすすめレシピ5選

母体の健康と胎児の成長のために必要なエネルギーを摂取しつつ、適正な体重増加を目指さなければならない十月十日(とつきとおか)。マグネシウムとカリウムを含む絶品レシピで、足のつりやむくみを“美味しく”緩和していきましょう。

さつまいもとかぼちゃの甘煮

カリウムを多く含むさつまいもとかぼちゃを甘く煮た一品。ほくほく食感で食べ応えも十分です。

<材料(2人前)>

・かぼちゃ 100g
・さつまいも 100g
・水 1/2カップ
・さとう 小さじ2
・しょうゆ 小さじ2
・みりん 小さじ1

<作り方>

1.かぼちゃとさつまいもを食べやすいサイズにカットし、さつまいもは水にさらしてあく抜きする。
2.鍋に調味料と水を入れてよく溶かす。
3.弱火でじっくり火を通す。おはしを通した時にほろっと崩れるほど柔らかく煮込めたら完成。

ほうれん草のミルクスープ

食欲がないときでも食べやすいミルクスープ。カリウムを含む牛乳とマグネシウムを含むほうれん草がたっぷり入っています。

<材料(2人前)>

・ほうれん草 1/2束
・あさりの水煮 1缶
・牛乳 150ml
・コンソメキューブ1/2個
・乾燥パセリ

<作り方>

1.ほうれん草を軽く洗い、ラップに包んでレンジで30秒チンしましょう。
2.牛乳を鍋に入れて温めたら、あさりと水煮とコンソメキューブを入れる。
3.ほうれん草を入れて一煮立ちしたら完成。上からお好みで乾燥パセリを振る。

わかめと干しえびのスープ

マグネシウムを多く含むわかめをたっぷり食べられる中華風スープ。干しエビの旨みによって少ない調味料でも美味しく感じます。より食べ応えを感じたいときは、カリウムを多く含む木綿豆腐を加えても良いでしょう。

<材料(2人前)>

・水 2カップ
・干しエビ 大さじ1〜2
・乾燥わかめ 2g
・鶏ガラスープの素 小さじ0.5
・酒 小さじ2
・しょうゆ 小さじ1
・こしょう、ごま油、ごま 少々

<作り方>

1.干しえびをもどし、食感が残る程度の大きさに刻む。
2.水2カップに先ほどのもどし汁を加えて、調味料とともに煮立たせる。
3.乾燥わかめを入れて、わかめが戻ったら完成。お好みでこしょうやごま油、ごまを上から振りかける。

アボカドとトマトと豆腐のカプレーゼ風サラダ

あっという間に出来上がり、見た目も華やかな豆腐を使ったカプレーゼ風サラダ。カリウムを多く含むアボカドと木綿豆腐をたっぷり食べられます。食欲が落ちているときにもさっぱり食べられる一品です。

<材料(2人前)>

・トマト(大) 1個
・アボカド 1個
・木綿豆腐 1/2丁
・オリーブオイル 大さじ1
・塩 少々

<作り方>

1.木綿豆腐をキッチンペーパーで二重に包み、上から重しをのせて30〜1時間置いておく。
2.トマト、アボカド、水切り後の豆腐を薄切りにしていく。このとき、できるだけ厚さを揃える。
3.トマト→豆腐→アボカドの順で並べていく。
4.上からオリーブオイルと塩をかけたら完成。

ほうれん草の白和え

マグネシウムを多く含むほうれん草と、カリウムを多く含む木綿豆腐を使った優しい味わいの副菜。

<材料(2人前)>

・木綿豆腐 1/2丁
・ほうれん草 1/2束
・にんじん 1/4本
・しいたけ 2個
・白だし 小さじ2
・砂糖 ひとつまみ
・すりごま 大さじ1

<作り方>

1.豆腐をキッチンペーパーで二重に包み、耐熱ボウルに入れてレンジ2分半加熱する。水切りが足りない場合は10秒ずつ追加していく。
2.にんじん、ほうれん草、しいたけはサッと茹でて火を通す。その後、にんじんとしいたけは細切り、ほうれん草は5cm幅にカットする。
3.水切りした豆腐を滑らかにしたら、調味料を入れてよく混ぜ合わせる。最後に野菜と豆腐を和えて完成。

むくみ&足のつりの緩和を目指して、バランスの良い食事を心がけよう

どうしても妊娠中は、むくみや足のつりが出やすいもの。寝不足や疲れが溜まって辛い瞬間も多いでしょう。そんなときだからこそ、これまで以上に「食生活」にこだわっていきたいもの。マグネシウムとカリウムはもちろん、鉄分やβカロテン、ビタミンC、食物繊維など、ほかの栄養素も母体の健康と胎児の成長のために不可欠です。食事から摂取するのはもちろん、手軽に栄養素を摂取できる「かける粉野菜」なども活用しながら、バランスの良い食事を心がけていきましょう。

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。