- 実がなる野菜(果菜類)
スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「大根」。大根の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「大根」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。
「大根」はアブラナ科ダイコン属に分類される根菜です。おでんや刺身のつまなど和食にも多く用いられ、日本人にもなじみ深い野菜です。生産量、消費量とも非常に多く、国内では一般的な白色のほかに赤や紫、緑など数多くの品種が流通しています(※1)。
大根は大きく色によって種類が分けられ、含まれる栄養も種類によって異なってきます。一般的な食用として流通している大根の色として下記の3種類があります。
スーパーなどで一般的に見かける細長い大根は、青首大根や白首大根と呼ばれる品種です。青首大根は葉の付け根が薄い緑色ですが、白首大根はすべて白色をしています。近年はみずみずしくて甘みが強い青首大根が主流となっており、サラダや漬物など広く食べられています。ほかにも、形が丸い聖護院(しょうごいん)大根やねずみ大根、細長く雑煮などに使われる祝だいこんなどの品種があります(※2)。
根が赤色もしくは紫色の大根で、紅化粧やレディーサラダ大根などの品種があげられます。皮だけ色がついているものや、中まで色がついているものなど色の入り方や濃淡も品種によって異なり、主にサラダや漬物で食されています。栄養素として抗酸化作用を持つアントシアニンを含み、健康への有効性も期待できる大根です(※3)。
表皮と中の果肉が薄い緑色をしている大根の種類で、中国原産のビタミン大根や青長大根が主流です。パリッとした食感で、ほんのりと甘みがあり辛味が少ないため漬物やサラダなど生で食べるのがおすすめです。
大根の葉はβ-カロテンやビタミンC、カルシウム、鉄分など多くの栄養素を含んでいます。葉の部分も捨てずに炒め物や汁物にすれば、余すことなく栄養を摂取できます。
大根は100gあたりの水分量が94.6gと、ほとんどが水分で構成されています。白色で水分の多い大根は栄養がないと思われるかもしれませんが、ビタミンCやカリウムなどのミネラル、消化酵素、食物繊維などさまざまな栄養が含まれており、栄養素が豊富な野菜です。
それでは「大根」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー:15kcal
水分:94.6g
たんぱく質:0.5g
脂質:0.1g
炭水化物:4.1g
カリウム:230mg
カルシウム:24mg
葉酸:34μg
ビタミンC:12mg
食物繊維:1.4g
糖質:2.7g
一般的な野菜のなかでもカロリーは低いといえます。
大きさにもよりますが一般的な「大根」の1本が1㎏程度、2〜3cmで100g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。
大根が栄養を多く含むことは皆さんご存じかと思いますが、中でも食物繊維は大根100gあたり1.4gも含まれています。
大根には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維の両方が含まれており
・便秘予防
・整腸作用
・血糖値上昇の抑制
・血液中のコレステロール濃度の低下
などに効果的といわれています。(※4)
抗酸化ビタミンといわれるビタミンCは老化の原因となる活性酸素の働きを抑える効果があります。また、コラーゲンの生成にも必要なため、美容や健康に欠かせない栄養素です(※5,6)。
大根のビタミンCは皮の近くに多く含まれるため、皮をむかないか、皮ギリギリまでむくと効率良くビタミンCをとることができます。(※7)
カリウムはミネラルの一種でナトリウムを排出する作用があり、体内の塩分を調整する働きをしてくれます。また、神経や筋肉にも関わっており、体の機能を維持するためには欠かせない栄養素です。(※8)
大根にはジアスターゼ(別名、アミラーゼ)と呼ばれる消化酵素が含まれています。ジアスターゼはご飯やパンなどの炭水化物の消化を助ける効果があります。 ただし、熱に弱いため煮物などの加熱調理では効果が失われてしまいます。ジアスターゼを効率良くとりたい場合は、生のサラダや大根おろしなどがおすすめです。(※9)
大根にはミネラルのひとつであるカルシウムも含まれています。カルシウムは骨の生成に必要なほか、血液や筋肉にも存在し筋肉の興奮を調節する働きもあります。(※10)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
フィトケミカル(ファイトケミカル)は、主に大根の辛み成分として含まれています。大根に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)はひとつで
・イソチオシアネート
です。イソチオシアネートは含硫化合物のひとつで硫黄を含んでおり、大根の辛み成分です。イソチオシアネートは、血栓ができることを防ぎ脳卒中や動脈硬化の予防をする働きや(※11)、がん細胞の増殖を阻害する働きが期待されており、有効性について広く研究されています(※12)。
また、イソチオシアネートは加熱調理によって減少すると考えられているため(※13)、サラダや大根おろしなど生で食べるのがおすすめです。
ほかに、紫や赤色の大根ではポリフェノールのひとつである
・アントシアニン
が含まれており、摂取することで視力の改善が期待できるといわれています。(※14)
大根100g当たりのカロリーは15kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。
食物繊維やミネラルなどの栄養素も豊富で、ダイエット中の方でもおすすめです。
大根の栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・生 ★★★
・蒸す ★★☆
・煮る ★☆☆
加熱調理はフィトケミカル(ファイトケミカル)の減少につながるため、漬物やサラダ、大根おろしなど生で食べるのが一番おすすめです。
加熱したい場合は、ゆでることで水溶性ビタミンが水に溶け出してしまうため、蒸し焼きでの調理をしましょう。また、みそ汁やスープ、おでんなどで食べる場合は、煮汁まで食べることで水に溶けだした栄養素をとることができます。
大根を含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特に大根は水分が全体の約95%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。
<常温保存の場合> 根菜類は土つきでの保存ができる食材です。洗ってしまうと腐りやすく日持ちがしないため、土つきであればそのまま新聞紙で包んで冷暗所に保存しましょう。
<冷蔵庫保存の場合> スーパーなどで購入した野菜は洗浄済となります。葉付きであれば葉からの水分蒸発を防ぐため、根と葉を切り離します。根は新聞紙やラップに包み冷蔵庫の野菜室に立てて保存します。
<冷凍保存の場合> 皮をむいて使いやすい大きさに切り、ラップで包んで冷凍保存用の袋に入れ冷凍庫で保存します。保存期間は2週間程度が目安ですが、食材は冷凍保存を行うことで栄養素が減少するため、早めに召し上がることをおすすめします。(※15)