スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「白菜」。白菜の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「白菜」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。
「白菜」はアブラナ科アブラナ属の野菜で、原産地の中国を中心に日本など東アジアで広く食されています。白菜の旬は寒さの増す秋から冬にかけてで、寒さにより葉の糖度が増して甘み、歯ごたえが増します。現在は150以上の品種があり、産地をかえて季節に合った品種が年中栽培されています。(※1)
白菜には以下のような種類があり、含まれる栄養も種類によって異なってきます。一般的な食用として流通している白菜の品種には、主に下記の3種類があります。
葉が巻いて重なり合い結球しているもので、スーパーなどで一般的に見かける白菜はこの結球タイプの品種です。鍋や煮物、漬物、キムチなど食卓にもよく 登場する品種です。淡色野菜ですが緑色の濃い部分にはβ-カロテンが含まれています。(※2)
中の葉がオレンジ色で栄養価が高い「オレンジ白菜」、霜を当てることで甘みが増した「霜降り白菜」、紫色の葉でアントシアニンが豊富な「紫白菜」、手ごろな大きさで扱いやすい「ミニはくさい」など、さまざまな品種があります。(※3)
特に、オレンジ白菜は含まれる栄養素のほとんどが普通の白菜よりも多く栄養豊富な品種です。(※2)
胴部は結球のように重なりがあり、球頭部は開いているものが半結球タイプです。やわらかい食味で、漬物などに利用されている花心白菜や山東白菜などがあります。
もともと、野生種の白菜はこの不結球タイプでしたが、品種改良などにより一般的な結球タイプになりました。不結球タイプの白菜は結球せず、チンゲン菜や小松菜のように葉が広がっています。肉厚でみずみずしい食感のべか菜などがあります。(※4)
白菜の旬は冬です。冬白菜は寒さから身を守るため葉に蓄えられたでん粉を糖へ変化させるため、甘みも強くなります。春に収穫される春白菜は、冬白菜と比べ葉がやわらかくみずみずしい食感を楽しむことができます。
白菜の芯である少し黄色い部分と、外葉はビタミンCが豊富に含まれるといわれています。また、外葉である緑色の部分はβ-カロテンを多く含んでいます。(※5)
淡色野菜の白菜ですが「白菜には栄養がないのでは」と思っている方も多いかと思います。しかし、「白菜」はカロリーも低く、カルシウム、カリウムなどのミネラルやビタミンC、ビタミンK、食物繊維など栄養素をしっかりと含んだ食材です。
それでは「白菜」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう
エネルギー:13kcal
水分:95.2g
たんぱく質:0.8g
脂質:0.1g
炭水化物:3.2g
カリウム:220mg
カルシウム:43mg
葉酸:61μg
ビタミンC:19mg
食物繊維:1.3g
糖質:1.9g
一般的な野菜のなかでもカロリーは低いといえます。
一般的な「白菜」の1個が2~3㎏、白菜の葉1枚が約80~120g程度のため数値算出の際のご参考になさってください。
白菜にはカリウムが多く含まれています。カリウムはミネラルのひとつで、神経伝達や筋肉の運動にも関わっています。ナトリウムの排せつを促し血圧を下げる効果があることから、血圧が気になる方は意識してとりたい栄養素です。(※6)
白菜100g当たりには19㎎のビタミンCが含まれています。ビタミンCは皮膚のメラニン色素の生成を抑え、コラーゲンの生成にも関わっていることから美容が気になる女性は積極的にとりたい栄養素です。また、抗酸化作用があるため、がんや動脈硬化の予防、老化防止の効果も期待されています。(※7)
白菜には100g当たり1.3gの食物繊維(水溶性食物繊維0.3g、不溶性食物繊維1.0g)が含まれています。
不溶性食物繊維は水に溶けない繊維で、水分を吸収して便のカサを増やし大腸を刺激することで便秘解消に役立ちます。また、体にとって有害な物質を吸着して排出してくれるため、腸内環境の改善や大腸がんのリスクを減らす働きもあります。(※8)
カルシウムは、骨のほかに血液や筋肉、神経に存在している栄養素です。筋肉の興奮を抑える働きのほか、骨のもととなる栄養素のため不足すると骨がもろくなる骨粗しょう症の原因となります。(※9)
ビタミンKは骨の健康にかかわる栄養素です。骨に存在するたんぱく質の一種を活性化し、カルシウムによる骨の形成を促します。カルシウムだけでは骨は強くならないため、カルシウムとともにビタミンKを含む食材をとることが勧められています。(※10)
葉酸はビタミンB群に属する水溶性ビタミンのひとつで、特に妊娠中の方、授乳中の方では積極的な摂取が推奨されています。細胞の生産や再生、赤血球の生産を助ける働きがあります。最近では、心疾患の予防にも効果があるのではないかと期待されている栄養素です。(※11)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
フィトケミカル(ファイトケミカル)は、白菜の辛み成分に多く含まれています。白菜に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで
・イソチオシアネート
・グルコシノレート
です。イソチオシアネートは、アブラナ科の野菜(キャベツやブロッコリー、大根、白菜など)に含まれる辛味成分で含硫化合物のひとつです。血栓ができることを防いで動脈硬化や心筋梗塞を予防する効果、ならびに抗がん作用が期待されています。(※2)
グルコシノレートもフィトケミカル(ファイトケミカル)である含硫化合物のひとつで、辛味成分として含まれています。強力な抗酸化作用があり、がん細胞の増殖を抑えるなど健康に対する効果も多数報告されています。(※12)
白菜100g当たりのカロリーは13kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。
カリウム、カルシウム、亜鉛、ビタミンC、ビタミンK、葉酸、食物繊維など多くの栄養素が含まれ、便秘解消にも効果があるためダイエット中の方におすすめの食材といえます。
白菜の栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・生 ★★★
・炒める ★★☆
・ゆでる ★☆☆
加熱調理はフィトケミカル(ファイトケミカル)の流出につながるため、サラダや漬物、キムチなど生で食べるのがおすすめです。煮物など火を通すイメージの白菜ですが、実は生でも食べることができます。薄く切ってサラダにするとシャキシャキとした食感を楽しむことができます。
炒め物は生食と比べると栄養素も多少減少してしまいますが、加熱でカサが減るため摂取量は増やしやすくなります。
ゆでる場合、水溶性ビタミンであるビタミンCが流出してしまうため、スープ、鍋など汁まで食べる調理法がおすすめです。
白菜を含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特に白菜は水分が全体の約95%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。
<常温保存の場合> 夏など暑い時期以外であればそのまま新聞紙に包んで冷暗所に立てておくと、2~3週間ほど保存ができます。
<冷蔵庫保存の場合> 白菜をカットした場合はラップで包んで冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。このとき、芯の部分は腐りやすいためカットしておきましょう。10日間ほどであれば保存ができます。
<冷凍保存の場合> 生の場合は白菜を使う大きさに切って冷凍用保存袋などジッパーの付いている袋に入れ、空気を抜いて冷凍します。ゆでた場合は水気をしっかり絞って小分けにラップで包んでから冷凍用保存袋へ入れて冷凍します。どちらも1か月程度であれば冷凍保存が可能です。(※13)