スイカの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スイカの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでもカットフルーツとして販売されている「スイカ」。スイカの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「スイカ」とは?基本の3種類とその栄養や食感の違い

「スイカ」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー6にあたる食品です。

「スイカ」はウリ科スイカ属の果物で「西瓜」と表記し、南アフリカが原産地です。農林水産省では「果実的野菜」に分類され、甘味とシャリシャリとした歯ざわりが魅力です。英語では「watermelon」と呼ばれるほど水分を豊富に含んでいます(※1)。

スイカは大きさや果肉の色によって種類や含まれる栄養も異なります。一般的な食用として流通しているのは大玉スイカです。

食品カテゴリーマップ

スイカの種類は?大きさの違い

スイカは大きさの違いで分けることができ、大玉種、中玉種、小玉種の3種類があります。

大玉スイカは一般的に国内で流通しているスイカで、甘味がありシャリっとした食感が人気です。品種としては「富士光」、「紅大」、「祭ばやし777」などがあります。 重さ5~8kgと大玉でずっしりとした重量感があります。

中玉スイカは3kg前後で「サマータイム」や黄色い果肉の「オレンジハート」などの種類があります。

小玉スイカはサイズが1.5~2kgと小さい品種で、家庭向けに需要が高まっています。見た目や味は大玉と同じですが、皮が薄いため食べられる部分が多いのが特徴です。種類も豊富で、「紅こだま」や「ひとりじめ」、「姫甘泉」、果肉が黄色の「黄こだま」などがあります。(※1)

スイカの種類

スイカは果肉の色で栄養が違う?

スイカは果肉の色が赤か黄かで含まれる栄養が異なってきます。果肉が赤いスイカはカロテンとリコピンを含みますが、果肉が黄色いスイカはカロテンのみでリコピンは含まれていません。(※2)

「スイカ」に栄養素がないって本当?

スイカは約90%が水分で「栄養がない」と思われる方も多いと思います。しかし、カリウムなどのミネラルやビタミンA、ビタミンB6、糖質、抗酸化作用のあるリコピンなどが豊富に含まれています。

「スイカ」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「スイカ」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

スイカ100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー:41kcal
水分:89.6g
たんぱく質:0.6g
脂質:0.1g
炭水化物:9.5g
カリウム:120mg
カルシウム:4mg
葉酸:3μg
ビタミンC:10mg
食物繊維:0.3g
糖質:9.2g

一般的な果物のなかでもカロリーは低いといえます。

一般的な「スイカ」は1玉5~8㎏で、8分の1のサイズにすると可食部は1kg程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。

スイカに含まれる栄養1:糖質

スイカ100g中には糖質が9.2g含まれています。みずみずしい食感とほどよい甘味で夏場の水分補給にもぴったりです。

スイカに含まれる栄養2:カリウム

カリウムは血圧の調整や心臓、筋肉の活動に関わる栄養素です。野菜や果物に含まれ、ゆでることで水に溶け出すため、生での摂取が勧められています。その点、スイカは生で食べることができるため、カリウムを効率良くとることができます。(※3)

スイカに含まれる栄養素3:ビタミンC

スイカには100g当たり10mgのビタミンCが含まれており、推奨量の10%をとることができます。ビタミンCはコラーゲン合成や、老化防止、皮膚でのメラニン生成を抑える働きが知られています。また、体の抵抗力を強める働きもあり、美容や健康に欠かせないビタミンです。(※4)

スイカに含まれる栄養素4:βカロテン

スイカに含まれるβカロテンは体内でビタミンAに変換されます。ビタミンAは目や皮膚など粘膜の健康を保ち、抗酸化作用により免疫力を高める働きがあります。

スイカに含まれる栄養素5:アミノ酸(L-シトルリン)

スイカにはアミノ酸のひとつであるL-シトルリンが含まれています。L-シトルリンは体内でL-アルギニンに変換され血管に作用することが知られています。血圧が高めの方に対して血圧を下げる効果や(※5)、動脈硬化の予防など血管の健康を改善させるのに効果的であることが研究で分かってきています。(※6,7)

スイカに含まれる栄養素6:ビタミンB6

ビタミンB6は体内でアミノ酸の代謝や免疫、神経伝達物質の合成など幅広い働きに関与しています。腸内細菌によってつくられてもいるため、不足しにくい栄養素ではありますが、長期間、抗生物質を使用している方などでは不足しやすいといわれています。(※8)

スイカに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

フィトケミカル(ファイトケミカル)は、スイカの苦み成分や赤色の成分に多く含まれています。スイカに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで

・リコピン(リコペン,lycopene)
・ククルビタシン

です。リコピンはカロテノイドのひとつで強い抗酸化作用をもち、動脈硬化や心疾患の予防に役立つといわれています(※9)。また、リコピン摂取により血圧の低下やLDL(悪玉)コレステロールを減少させる効果も明らかとなっています(※10)。

ウリ科の苦味成分であるククルビタシンにも抗酸化作用があり、がん細胞の増殖を抑える抗がん効果や老化防止効果が知られています。(※11)

「スイカ」はダイエット向きの食材?

スイカ100g当たりのカロリーは41kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。

程よい甘さでビタミン、ミネラルを含み、お菓子の代替品とするなどダイエット中の方におすすめの食材といえます。

「スイカ」の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

・生      ★★★
・冷凍     ★★☆
・煮る     ★★☆

加熱することでフィトケミカル(ファイトケミカル)が減少してしまうため、基本的にはそのままか、ジュースやガスパチョ、フルーツポンチ、皮の漬物など生で食べるのがおすすめです。

冷凍でシャーベットやアイスにする場合は、霜がつくことでビタミンCなど水溶性ビタミンが流出してしまうため、完成後は早めにお召し上がりください。ゼリーなど加熱調理ではビタミンCが酸化により減少してしまう可能性があります。

スイカの栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

「スイカ」栄養価を失わない正しい保存方法

スイカを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にスイカは水分が全体の約90%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。

<常温保存の場合> 冷暗所なら2週間ほど持ちますが、スイカは収穫日から味が落ちるため早めに召し上がるのがおすすめです。食べる前に1時間ほど冷やしておくと、より美味しく召し上がっていただけます。

<冷蔵庫保存の場合> カットしたスイカは空気が入らないように切り口にラップをかぶせ、野菜室へ入れましょう。保存期間は3日ほどです。冷やしすぎると甘味が無くなるため10~15度を保ちましょう。

<冷凍保存の場合> 食感が損なわれるため、スムージーやシャーベットにおすすめです。1か月程度であれば冷凍庫にて保存が可能です。皮と種を取って食べやすい大きさに切り冷凍用保存袋に入れて冷凍庫で保存します。(※12)

岩崎真宏

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。

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