- 実がなる野菜(果菜類)
スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「ナス」。ナスの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
「ナス」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。
「ナス」はインド原産のナス科の植物で、奈良時代にはすでに作られていたといわれています。現在では全国各地で栽培が盛んで、夏から秋までは九州や四国地方、寒い時期は関東と季節によって主要な生産地が変わるのも特徴です。夏野菜としても有名なナスは、淡色野菜というカテゴリに属します。(※1)
古くから世界中で食べられてきたナスには、日本だけでもさまざまな品種が存在します。品種による栄養素の違いは少なく、主に流通しているナスには主に下記のような種類があります。
水ナスは、大阪南部の泉州地域の特産品で、皮が薄くアクが少ないので生で食べられるので浅漬けにするのがおすすめです。現在では大阪以外に新潟でも深雪なすという名称で栽培されています。深雪なすも大阪の水ナスを持ち込んで生産されるようになったものです。(※2,3,4)
主に西日本や東北でつくられている20〜25cmの長いナスです。皮や実が程よく柔らかく、焼いても煮ても美味しく食べられます。揚げナスや焼きナスにすると甘みが引き立つのも特徴です。(※3,5)
最もポピュラーなナスの品種で全国各地で食べられています。特に「千両ナス」や「千両二号」がハウス栽培で通年流通しています。(※3,6)
東北や北陸、関西で作られているナスで有名なものに京都府の賀茂なすや新潟県の巾着なすなどがあります。身がしまった肉質が特徴で、煮崩れしにくいのが特徴です。そのため田楽や煮物、ステーキなどに向いています。(※3,7)
ヨーロッパやアメリカの大型品種を日本で改良したものが米ナスです。丸ナスと特徴が似ており、荷崩れしにくく身がしっかりとしています。(※8)
「秋ナスは嫁に食わすな」ということわざがあるように、ナスは90%以上が水分で、体を冷やす作用があるといわれています。それだけ聞くと「ナスには栄養が少ないのかな」と思う方もいるでしょう。そんな水分の多いナスですが、カリウム・カルシウム・β‐カロテン・ビタミンC・ビタミンK・食物繊維を含んだ栄養素のバランスがいい食材です。(※9,10)
それでは「ナス」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 18kcal
水分 93.2g
たんぱく質 1.1g
脂質 0.1g
炭水化物 5.1g
カリウム 220mg
カルシウム 18mg
β‐カロテン 100㎍
ビタミンC 4mg
葉酸 32㎍
食物繊維 2.2g
糖質:2.9g
(※10)
一般的な野菜のなかでもカロリーは低いといえます。
一般的な「ナス」の1個が150g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。(※11)
ナスには水溶性のミネラルの一種である「カリウム」が豊富に含まれています。カリウムは尿中でのナトリウムの排出を促し血圧を低下させるため、塩分摂取量が多い日本人は積極的に摂取したい栄養素です。通常欠乏することはありませんが、カリウムをたくさん摂ることで脳卒中予防、骨粗鬆症予防の効果が期待できるといわれています。(※12)
日本人の多くが不足しているといわれている「食物繊維」もナスを食べることで摂取できます。特にナスは水に溶けにくい不溶性食物繊維が多いのが特徴です。食物繊維を積極的に摂ることは
・心筋梗塞の発症予防
・脳卒中の予防
・糖尿病の予防
・乳がんや胃がんの予防
などに効果があるという研究結果も多く報告されています。(※13,14)
あまり聞きなれない栄養素のビタミンKですが、血液の凝固や骨の形成に関わっているビタミンです。ビタミンkは脂溶性ビタミンの1種で、水に溶けず油に溶けやすい性質があります。(※15)
乳製品や小魚に多いイメージがあるカルシウムもナスから摂取できるミネラルです。カルシウムは生体内に最も多く含まれるミネラル類で、骨や歯の形成に欠かせない栄養素ですが日本人の多くは不足しているといわれています。(※16)
葉酸はビタミンB12と共に赤血球を作ることで「造血ビタミン」と呼ばれるビタミンB群の一種です。体の発育にも重要とされ、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを減らす効果があるといわれています。妊娠中には葉酸の摂取量が増加するので、妊婦さんは積極的な摂取が推奨されています。(※17,18)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
ナスにはポリフェノールやカロテノイドなど複数のフィトケミカルが含まれています。
ナスに含まれるフィトケミカルは大きく3つで
・β‐カロテン
・ナスニン
・クロロゲン酸
です。β‐カロテンはカロテノイドに分類されるフィトケミカル(ファイトケミカル)で、小腸でビタミンAに変換されるため「プロビタミンA」と呼ばれています。目や皮膚の健康を維持し、暗いところでの視力を保つ役割があります。(※10,19,20)
ナスニンは強い抗酸化力が特徴のポリフェノールの一種で、コレステロール値の低下や生活習慣病の予防効果が期待されています。(※9,21)
クロロゲン酸もナスニンと同じくポリフェノール類で、抗炎症や免疫調節に関わり、老化やがんを予防する効果があるといわれています。ナスの切り口が茶色に変色してしまうのはクロロゲン酸が原因です。(※9,22)
ナス100g当たりのカロリーは18kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。
ナスには便の容積を増やし排便を促す不溶性食物繊維も多く含まれているので、ダイエット中の方にもおすすめの食材です。(※10,23)
ナスの栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・揚げる ★★★
・煮る ★★★
・炒める ★★★
・茹でる ★☆☆
加熱調理はフィトケミカル(ファイトケミカル)の流出につながるため、煮物や汁物などに入れ煮汁まで食べることがおすすめです。ナスは茹でると水溶性のビタミンやミネラルが減少しますが、炒めたり揚げたりすると増える特徴があります。そのため揚げナスやマーボーナスにして食べると効率よく栄養を摂ることができます。(※10)
ナスを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にナスは水分が全体の約93%を占め、低温や乾燥にも弱いため劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。
<冷蔵保存の場合> ナスは低温に弱いので、冷蔵庫に入れる場合はキッチンペーパーやラップで包み、保存袋に入れてできるだけ野菜室に入れておきましょう。保存の目安は10日前後です。
<冷蔵庫保存の場合> 食べやすい大きさに切って保存袋に入れて冷凍しておけば、冷凍のまま調理できるのでさっと使えて便利です。食感は損なわれますが、1か月程度であれば冷凍庫にて保存が可能です。
食材は冷凍保存を行うことで栄養素が減少していきますので、こちらも1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。(※9,24)