スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「長芋」。長芋の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「長芋」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー1にあたる食品です。
ねばねば系食材代表ともいえる「長芋」はヤマノイモの一種で、円筒形の種類を一般的にそう呼びます。現在ではヤマノイモの中で最も多く栽培されている品種です。長いものでは1m以上のものがあり、生育に1年程度かかることから「1年芋」と呼ばれることもあります。長芋は寒い地域での栽培が盛んで、生産量は
1位 北海道
2位 青森
3位 長野
となっています。(※1,19)
山芋と長芋の違いがわからないという方も多いですが、山芋という品種はなくヤマノイモ科に属する芋の総称を指します。一般的に流通している長芋と同じヤマノイモ科には下記のような種類があります。(※1)
主に千葉県や埼玉県など関東で多く栽培されている品種で、いちょう型・手のひら型・ばち型など扁平な形状が特徴です。関東でヤマトイモと呼ばれる品種はこのいちょういもです。長芋と比較するとアクが少なく、粘り気が強いためとろろによく使われます。(※1)
関西地方の特産品として有名な品種で、三重県の伊勢いもや丹波いもなどがあります。長芋と比較すると、純白できめ細やかな肉質や強い粘り気が特徴です。その高い品質から高級品としても重用され、鹿児島県の銘菓「かるかん」のつなぎに使われることもあります。(※1,2,3)
日本原産のやまのいもの品種で、食用はもちろん高い滋養強壮効果があるといわれて薬用としても利用されてきました。日本各地の山野に自生していますが、収穫までに3〜4年かかるため一般的に流通しているのは栽培された自然薯がほとんどです。他のやまのいもに比べ香りや粘り気が強いのが特徴です。(※1,4)
むかごはヤマノイモの葉の付け根のつるにできる芋の子供です。芋の実や種ではなく、茎の一部に養分が蓄えられてできたもので、単体でヤマノイモとして芽を出すことができます。
味はヤマノイモと変わりませんが、小さいためむかごご飯や素揚げなど加熱調理して食べられるのが一般的です。(※1,5)
中国では山薬と呼ばれるほど滋養強壮効果のある食材の長芋ですが、実際にその栄養価が高いのか気になる方も多いでしょう。長芋の特徴は食物繊維をはじめ、カリウムやマグネシウムなどのミネラル類・ビタミンB群・ビタミンCといった栄養素をバランスよく含んでいることです。(※6,7)
それでは「長芋」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 64kcal
水分 82.6g
たんぱく質 2.2g
脂質 0.3g
炭水化物 13.9g
カリウム 430mg
マグネシウム 17mg
ビタミンB1 0.1mg
ビオチン 2.2μg
ビタミンC 6mg
食物繊維 1.0g
糖質:12.9g
一般的な野菜と比較してカロリーは高いといえます。(※7)
一般的にスーパーなどでは「長芋」はカットして売られています。重量あたりの価格で販売されていることが多いので、その重さをチェックしてみましょう。(※7)
長芋にはカリウムが多く含まれています。カリウムは血圧の降下作用や細胞内の酵素反応の調節を行っている大切な栄養素です。カリウムは水溶性のため水にさらしたり、茹でたりすると容易に溶け出してしまいますが、長芋のように生で食べることが多い食材であれば効率的に摂取できます。(※7,8)
マグネシウムは300種類以上の酵素の働きを助ける作用や栄養素の合成・分解に関与しているミネラルです。血管を拡張させることで血圧の低下にも効果があります。不足すると不整脈が起こることがあり、動脈硬化のリスクが高まる可能性があるといわれています。(※9)
長芋には水溶性ビタミンB群のビオチンも含まれています。皮膚の炎症防止や粘膜の維持、爪や髪の健康に関与するビタミンで、美容のためにも積極的に摂取したい栄養素です。(※10,11)
長芋に含まれる水溶性ビタミンのビタミンB1は、糖質をエネルギーに変換する際に必要な栄養素です。ビタミンB1が不足すると十分なエネルギーが産生されなくなるため、神経障害やだるさ、食欲不振などが起こります。(※12)
長芋を食べることで水に溶けやすい水溶性食物繊維と溶けにくい性質の不溶性食物繊維が摂取できます。どちらも体内に吸収されない糖類の仲間で、
・便秘や腸内環境の改善
・生活習慣病の予防
・大腸ガンのリスク低下
などに効果があるといわれ、健康に重要な役割を果たしています。(※17)
長芋がじゃがいもやさつまいもとは違い生で食べられるのは、芋類に多く含まれるデンプンを小さな分子にすることで消化を助ける作用のあるアミラーゼを含んでいるからといわれています。アミラーゼは消化酵素のひとつで、唾液にも含まれている成分です。(※13,14)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
長芋などのやまのいもは古くから滋養強壮作用を持つ食品として認知されています。そんな長芋に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は
・サポニン
です。長芋に含まれるサポニンはジオスゲニンといい、認知機能や運動機能の改善に効果があるといわれています。さらに糖尿病、高コレステロール血症の予防から美容効果にも期待されている栄養素です。(※15,16)
長芋はヤマノイモの中では水分量が高く、カロリーが低いのが特徴です。食物繊維やアミラーゼなど整腸効果がある栄養素も含まれているためダイエット向きの食材といえます。下記ヤマノイモの種類によるエネルギー量の違いを参考にしてください。
各100gあたりのエネルギー量
長芋 64kcal
いちょういも 108 kcal
やまといも 119 kcal
自然薯 118 kcal
(※7,14,17)
長芋の栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・煮る ★☆☆
・焼く ★★☆
・茹でる ★☆☆
・生食 ★★★
加熱調理はフィトケミカル(ファイトケミカル)の流出につながるため、ステーキやとろろ汁など、汁まで食べられるものや流出しにくい調理法がおすすめです。しかし、アミラーゼや水溶性の栄養素も加熱すると減少してしまうので、効率的に栄養素を摂取するならすりおろしてとろろにするか、短冊に切ってポン酢をかけるなど生食で食べることをおすすめします。(※13)
長芋などの芋類は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特に長芋はカットしてあるものだと変色しやすいので、気をつけましょう。
寒い時期は常温保存・春以降は冷蔵庫保存:長芋はキッチンペーパーや新聞紙などに包んで、涼しいところに保存しましょう。また春以降暖かい時期は冷蔵庫で保存し、カットしてあるものは変色を防ぐためにラップをして保存袋に入れて保管します。
冷凍保存する場合:皮をむいて程よい大きさにカットしておくか、とろろにした状態で保存袋に入れて冷凍保存しましょう。とろろの状態であれば薄く伸ばしておくと、手で割りやすいので必要な量だけ使うことができます。1か月程度を目安にできるだけ早めに食べきるようにしましょう。(※19)