スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「さつまいも」。さつまいもの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「さつまいも」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー1にあたる食品です。
「さつまいも」はイモ類に分類されるヒルガオ科の植物です。日本では1597年に宮古島に持ち込まれたのが最初といわれ、江戸時代に薩摩(現在の鹿児島県)から全国へ伝わったためその名称で呼ばれるようになりました。清涼飲料の甘味料や菓子用から芋焼酎といった醸造用にも利用されており、加工用途が幅広いことが特徴です。(※1,2,3)
さつまいもはその幅広い用途から、目的に応じてさまざまな品種が存在しています。主要品種は約60品種程度ありますが、一般的に流通している食用のさつまいもには下記のような種類があります。(※4)
「ベニアズマ」は特に関東で好まれる食用品種で、関東ではシェアのほとんどを占めています。関東85号とコガネセンガンを組み合わせた品種で、皮の色は濃赤紫色で肉色は黄色、繊維が少なくホクホクとした粉質の肉質で甘みが強いのが特徴です。青果用や焼き芋などの加工用としても人気があります。(※5,6,7)
「高系14号」は1945年に早掘り用品種として命名されたもので、鹿児島県のベニサツマや徳島県のなると金時など、さまざまな派生品種が存在します。皮は紅色、肉は黄白色の粉質で繊維が少なく青果用はもちろん、きんとんやあん類などペーストの加工用原料としても使われています。(※6,8)
近年人気が高まっているねっとりとした食感が人気の安納芋や、紫色の身が特徴の種子島紫芋は古くから各地域で栽培がされてきた在来種のさつまいもです。現在では突然変異種も増え、さまざまな品種が出回るようになりました。(※9,10,11)
甘みが強くさまざまな食品として利用される「さつまいも」ですが、炭水化物が多く太りやすそうというイメージを持っている方も多いでしょう。しかし、さつまいもには食物繊維をはじめビタミンC・ビタミンB群やカリウム・カルシウムなどミネラル類も豊富に含まれている優秀な食材です。(※12)
それでは「さつまいも」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 127kcal
水分 64.6g
たんぱく質 0.9g
脂質 0.5g
炭水化物 33.1g
カリウム 380mg
カルシウム 40mg
葉酸 49μg
ビタミンC 25mg
食物繊維:2.8g
糖質:30.3g
(※13)
一般的な野菜と比較するとカロリーが高いといえます。
一般的な「さつまいも」は150g〜450g程度とサイズで大きくばらつきがあります。中ぐらいのサイズで200g前後です。数値算出の際のご参考になさってください。(※14)
さつまいもはみかんなどの柑橘類に匹敵するほどビタミンCが多い食材です。ビタミンCは水溶性ビタミンの一種で、紫外線による肌へのダメージを保護する強い抗酸化作用を持っています。日焼け予防やかぜなどの病気への抵抗力を高めてくれるので積極的に摂取したい栄養素です。ビタミンCの成人1日必要量は100mlなので、さつまいも100gで1日の約1/4量を摂取することができます。(※15,16)
さつまいもには糖質をエネルギーに変換するために必要なビタミンB1も豊富に含まれています。このビタミンには皮膚や粘膜の健康維持を助ける働きがあります。通常そこまで不足する栄養素ではありませんが、エネルギー産生に必要な栄養素のため、よく運動をする方や糖質をたくさん摂る方にとっては意識して摂りたい栄養素のひとつです。(※17)
カリウムは心臓機能や筋肉機能の調節に関わるミネラルの一種で、腎臓でナトリウムの排出を促す作用があるため血圧を下げる効果があります。カリウムは水溶性で水に溶けやすい性質があるため、調理法によってはもともと含まれていた数値より減少してしまいます。茹でたほうれん草と焼き芋を比較してみましょう。
各100gあたりのカリウム含有量は
さつまいも(焼):540ml
ほうれんそう(ゆで):490ml
となっており、焼いたり蒸したりする調理が多いさつまいもはカリウムを効率的に摂取しやすい食品といえるでしょう。(※13,18)
さつまいものカルシウム含有量はイモ類の中ではトップクラスです。カルシウムは歯や骨を構成する役割はもちろん、筋肉の収縮や血液凝固作用の促進に関わる重要な栄養素です。(※13,19)
さつまいもの甘み成分を生成するための酵素にβ‐アミラーゼがあります。でん粉を分解する酵素を総称してアミラーゼと呼び、β‐アミラーゼは植物性です。この酵素の活性温度は70度前後で、特に焼き芋が甘く感じやすいのはこの温度帯での調理を行っているからです。(※20)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
さつまいもに多く含まれる主なフィトケミカル(ファイトケミカル)はポリフェノール類です。通常のさつまいもと紫芋では含まれる種類が異なります。
さつまいもに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)はそれぞれ
・クロロゲン酸(通常のさつまいも)
・アントシアニン(紫芋)
です。通常のさつまいもに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)はポリフェノールの一種クロロゲン酸が主な成分です。抗酸化作用があり、炎症や糖尿病、心血管疾患などのリスクを減らす効果があるといわれています。(※21,22)
紫芋には紫色を構成するアントシアニンというポリフェノール系のフィトケミカル(ファイトケミカル)が多く含まれています。高い抗酸化力に加えて、目の機能の改善効果が期待される栄養素です。高アントシアニン加工用品種も存在し、色素原料用としても利用されています。(※23,24,25)
さつまいも100g当たりのカロリーは126kcalと野菜と比較するとややカロリーは高い食材といえます。しかし、製菓と比較すると十分低カロリーなのでおやつの代替品として食べるのであればダイエットに効果的な食品です。また整腸作用のあるヤラピンや食物繊維といった便秘予防に効果がある栄養素が含まれているので、さつまいもはダイエット向きだといえるでしょう。(※12,13)
さつまいもの栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・焼く ★★★
・煮る ★★★
・揚げる ★★★
・茹でる ★☆☆
・干す ★★★
さつまいもに含まれる栄養素は加熱に強く、調理法でさほど栄養価は変わりませんが茹でると水溶性のカリウムやビタミン、フィトケミカル(ファイトケミカル)の流出は避けられません。さつまいもの天ぷらやスイートポテトを作る時も、事前に火を通す場合は電子レンジで加熱するか蒸して加熱するといいでしょう。また干し芋の場合ビタミンCは極端に減り、水分がなくなるためエネルギーや食物繊維量が増えるのが特徴です。(※13)
さつまいもを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。さつまいもは寒さに弱いため、常温保存(13〜15℃が適温)が基本です。キッチンペーパーなどで包みポリ袋に入れておけば、6か月程度は保存が可能です。
<冷凍保存の場合> 冷凍にする場合は、食べやすい大きさに切ってから水にさらし、水分をよくふき取ってからポリ袋にいれて保存しましょう。また加熱したさつまいもであれば、解凍後すぐに料理に使えるのでおすすめです。どちらにしても食味は落ちてしまうので、1か月程度を目途に食べきるようにしましょう。(※26,27)