- 根菜
スーパーや最近ではコンビニでも販売されている「ジャガイモ」。ジャガイモの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「ジャガイモ」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー1にあたる食品です。
「ジャガイモ」は世界中で数千種類の品種があると言われ、形や皮の色など品種によって含まれる栄養も異なってきます。国内のスーパーなどで一般的に流通しているジャガイモは約15品種ほどで、さまざまな種類のジャガイモを楽しむことができます。(※1)
ジャガイモには主に以下のような種類があり、含まれる栄養も種類によって異なってきます。一般的な食用として流通しているジャガイモには主に下記5種類があります。(※2)
ジャガイモの香りが強くホクホクした食感で多くの方に好まれる品種です。
粉質で少し煮くずれがみられるため長時間の煮込みは適しません。じゃがバターやフライドポテト、粉吹き芋、コロッケ、ポテトサラダなどに適しています。
ややねっとりとした食感で舌ざわりが良く、国内でも広く食されている品種です。低温で貯蔵することで甘味と粘質度が増します。
粘質のため、ポテトチップやフライドポテトなど油で揚げる料理には向いていません。一方で長時間煮ても煮くずれが少ないため、シチューやカレー、おでんなどの煮込み料理に向いています。
実りが早い早生(わせ)品種のとうやは、大つぶで表面のくぼみが少ないことが特徴です。肉質はやや粘質で舌ざわりはとても滑らかです。「男爵」と比べ煮くずれは少ないですが、ジャガイモの香りは弱いです。メークインなど粘質が好みの方におすすめの品種です。
ポテトチップやフライドポテトなどには向いていませんが、煮物やスライスしてサラダにするなどの調理には向いています。ビタミンCの量は「男爵」よりも多いです。
鮮やかな黄色でやや粘質があり滑らかな舌触りです。味は栗やさつまいものような独特な風味があるといわれています。煮物や油で揚げるポテトチップやフライドポテト、アイスやケーキなどのお菓子まで幅広い調理方法におすすめです。また、抗酸化作用の強いカロテノイドを含んでおり、栄養価の高い品種です。
粉質でえぐ味がなく「男爵」のようなホクホクとした食感とさつまいもに似た香りを楽しむことができます。食味が低下しやすいため、長期間の保存には向きません。
おすすめの調理方法はサラダや皮つきで蒸すじゃがバター、粉ふき芋などです。煮くずれしやすいため、煮物などの煮込み料理には向きません。カロテンの含有量が高く、ビタミンCも「男爵」の約1.5倍と栄養価の高い品種です。
ジャガイモの芽や光が当たって緑色になった皮には、天然の毒素である「ソラニン」や「チャコニン」という成分が含まれています。これらの毒素を摂取すると、吐き気や下痢、おう吐、腹痛、頭痛、めまいといった症状が出る可能性があり注意が必要です。
食中毒にならないための対策として
・芽がある場合、芽とそのまわりの部分も含めて取り除く
・皮が緑色の場合、皮を厚めにむく
・苦みを感じたら、食べない
があげられます。(※3)
ジャガイモは炭水化物が多く白い色をしていることから「栄養がない」と思われる方も多いでしょう。しかし、カリウムなどのミネラルやビタミンCなどのビタミン、食物繊維などの栄養素が豊富に含まれています。
それでは「ジャガイモ」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 51kcal
水分 81.1g
たんぱく質 1.8g
脂質 0.1g
炭水化物 15.9g
カリウム 420mg
カルシウム 4mg
葉酸 20μg
ビタミンC 28mg
食物繊維:9.8g
糖質:6.1g
一般的な野菜のなかではカロリーが高いといえます。
一般的な「ジャガイモ」の中サイズ1個あたりの重さは120g~130g程度のため、数値算出のご参考になさってください。
ジャガイモのビタミンCはでん粉に守られているため、熱に強く煮物や炒め物でも壊れにくいという特徴があります。ビタミンCはコラーゲン合成や、抗酸化作用によるがんや動脈硬化の予防、老化防止など美容や健康に欠かせない働きをしています。(※4)
カリウムは塩分の摂り過ぎを調節し、高血圧の予防や神経、筋肉の収縮に関わっています。生活習慣病の予防を目的としたカリウムの目標量は男性3,000mg以上、女性2,600mg以上となっています。ジャガイモはカリウムが豊富で、生活習慣が乱れがちな方にもおすすめの食材です。(※5)
ビタミンB2は「発育のビタミン」ともいわれ、体の健康を維持するのに欠かすことのできない栄養素です。
体内での主な働きとして
・糖質やたんぱく質・脂質の代謝
・エネルギーの産生
・皮膚、髪、爪などの細胞の再生
があげられます。(※6)
ビタミンB6は体内で酵素の働きを助ける補酵素としてアミノ酸の代謝を助けています。また、免疫機能の維持や赤血球に含まれるヘモグロビンの合成、神経伝達物質の合成などさまざまな代謝や体の機能に関係しています。(※7)
パントテン酸はビタミンのひとつで、体内で脂質や糖質の代謝に関わりエネルギーをつくるサポートをしてくれる栄養素です。また、HDL(善玉)コレステロールを増やす働きや、ホルモンをつくる働きにも関わっています。(※8)
ジャガイモは皮つきの方が食物繊維は多いため、可能であれば皮付きのまま調理するのがおすすめです。また、ジャガイモには水に溶ける水溶性食物繊維と水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれており、整腸作用や生活習慣の予防・改善などに効果的といわれています。
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
フィトケミカル(ファイトケミカル)は、ジャガイモの皮と果肉に含まれています。ジャガイモに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく3つで
・フラボノイド
・クロロゲン酸
・アントシアニン
です。フラボノイド、クロロゲン酸、アントシアニンはいずれもポリフェノールの一種です。
フラボノイドには抗酸化作用があり、老化やシミ、しわ、動脈硬化などのもととなる活性酸素を取り除いてくれます。他にも免疫力を整える、ストレスの緩和などの効果が知られています。(※9)
クロロゲン酸は苦味の成分でフィトケミカル(ファイトケミカル)として脂質の代謝および肥満に関連するホルモンを改善し、体重を減少させる効果や(※10)、糖の吸収を遅らせることで糖尿病を予防するなど生活習慣病に対する予防・改善効果があります。(※11)また、抗酸化作用を持つことから抵抗力を高める抗ウイルス作用や抗がん作用もあります。(※12)
アントシアニンは目の機能の改善により視力を回復する効果が知られています。(※13)
ジャガイモはカロリーや糖質が多く太りやすいというイメージを持つ方もいらっしゃるかと思います。特にポテトチップスやフライドポテトなど油を使う調理ではカロリーが高くなってしまいます。しかし、ジャガイモ自体の100g当たりのカロリーは51kcalとそれほど高くありません。
ダイエット中は蒸す、茹でるなどほかの調理方法がおすすめです。
ビタミンやミネラルなどの栄養素も豊富に含んでいるため、バランスよく食事に取り入れることができればダイエット向きの食材といえます。
ジャガイモの栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・蒸す ★★★
・煮る ★★☆
・揚げる ★☆☆
じゃがバターなど蒸す調理法では水に流れやすい栄養素の損失を抑えることができます。特に皮付きのまま電子レンジで加熱すると、水っぽくならず水溶性ビタミン類の損失も少なくなります。
煮る場合は、水溶性ビタミンが流出してしまうため、スープやポタージュなど汁ごと食べる調理法がおすすめです。(※14)
ジャガイモに限りませんが、120℃以上の高温で調理することでアクリルアミドという成分が生成されます。
アクリルアミドはネズミによる実験で
• 神経に悪影響を与える
• 発がんの確率が高まる
という作用がみられており、体に悪い影響を与えることが考えられます。
アクリルアミドを減らす対策として、以下の3つがあげられます。
・常温で保存したジャガイモを使う:長期間冷蔵すると還元糖が増えアクリルアミドができやすくなります。
・水にさらす:アクリルアミドのもととなる成分が洗い流されるため、アクリルアミドができにくくなります。
・焦がさない:加熱温度が高く、加熱時間が長いほどアクリルアミド濃度が高くなります。
揚げ物調理をする際のご参考にしていただければと思います。(※15)
ジャガイモを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にジャガイモは水分が全体の約80%を占めるため、適切な保存方法が求められる食材です。
<常温保存の場合> ジャガイモは日光に当てると皮が緑色に変わり毒素が生成されるため、新聞紙で包み冷暗所で保管しましょう。
<冷蔵庫保存の場合> ジャガイモは冷蔵庫での保管には向きませんが、冷蔵保存する場合はキッチンペーパーで包みポリ袋に入れて保存しましょう。保存期間は1か月程度です。
冷凍保存の場合:ジャガイモは生のまま冷凍すると味が落ちるため冷凍保存には向いていません。冷凍保存したい場合は、加熱してマッシュポテトなどに加工し保存用パックに入れるか、生であれば皮付きのまま洗ってペーパータオルで水分を取り、ラップで包んでから保存用パックに入れて冷凍しましょう。(※16)