人参の栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

人参の栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「人参」。人参の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「人参」とは?種類や栄養の違いについて解説

「人参」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。

人参はセリ科ニンジン属で、主に根を食用としています。鮮やかな色をした代表的な緑黄色野菜のひとつとして、和洋中問わずさまざまな料理に使われています。人参の種類は大きく分けて中国から日本に伝わった「東洋にんじん」と、ヨーロッパやアメリカ経由で日本に伝わった「西洋にんじん」の2つに分けることができます。(※1)

食品カテゴリーマップ

人参の種類:東洋にんじん

東洋にんじんは色が、赤、白、黄、紫など多彩で、細長い形をしていることが特徴です。

特に、国内で流通している「金時にんじん」強い甘みと柔らかさが特徴の品種です。根の長さが30㎝ほどで、赤みが強く正月料理などに使われています。

人参の種類:西洋にんじん

西洋にんじんは一般的にスーパーなどで広く販売されている、太くて短い品種です。

一般的なにんじんである「五寸にんじん」10㎝程と普通の人参よりも一回り小さい「三寸にんじん」長さが60~70㎝になる「大長にんじん」付け合わせなどで使用される「ミニキャロット」などの種類があります。

人参は色で栄養が違う?5種類の違いを解説!

人参の色には大きく分けてオレンジ、赤、黄、紫、白の5種類があります。(※2)

それぞれの栄養と効果は以下の通りです。

オレンジ:β-カロテンが豊富に含まれています。

紫:アントシアニン(ポリフェノールの一種)を含み、眼精疲労を防ぐ効果があります。

黄:ルテイン(カロテノイドの一種)を含み、抗酸化作用を持ちます。

赤:リコピンを含み、強い抗酸化作用があります。

白:特別な色素はありませんが、食物繊維を多く含みます。

「人参」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「人参」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

人参に含まれる栄養素

人参(生、皮つき・可食部)100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー 35kcal
水分 89.1g
たんぱく質 0.7g
脂質 0.2g
炭水化物 9.3g
カリウム 300mg
カルシウム 28mg
葉酸 21μg
ビタミンC 6mg
食物繊維:2.8g
糖質:6.5g

糖質が多い人参は、一般的な野菜の中でもカロリーは平均的といえます。

一般的な「人参」は通常サイズで150g前後のため、数値算出の際のご参考になさってください。

人参に含まれる栄養1:カリウム

カリウムは血圧調整作用や心臓、筋肉の活動を調整する働きが知られています。また、水溶性のため茹でると水に溶け出すことから、サラダやジュースなど生での摂取がおすすめです。(※3)

人参に含まれる栄養2:糖質

人参100g当たり糖質6.5gが含まれており、他の野菜と比べると糖質の多い野菜といえます。糖質は体内に吸収されると脳や体を動かすエネルギー源となる栄養素です。(※4)

人参に含まれる栄養素3:β-カロテン

人参にはβ-カロテンが豊富に含まれており、その含有量は緑黄色野菜の中でもトップクラスです。β-カロテンは皮の近くに多く含まれているため、皮を剥かずに調理するのがおすすめです。β-カロテンは体内に入るとビタミンAに変わり、皮膚や粘膜を丈夫にして免疫力を高める効果が期待できます。また、抗酸化作用が強いため体や肌の老化を防ぐ働きもあります。(※5)

人参に含まれる栄養素4:食物繊維

人参には100g当たり食物繊維が2.8g(水溶性食物繊維:0.7g、不溶性食物繊維:2.1g)と豊富に含まれており、以下のような効果が期待できます。(※6)

不溶性食物繊維の働き
・便秘予防・解消
・有害物質を排出し大腸がん予防

水溶性食物繊維の働き
・血糖値の上昇を抑える
・血中コレステロール値の低下
・ナトリウムを排出し高血圧予防

人参の葉に含まれる栄養素

人参の葉には体によい栄養素がたっぷり含まれています。たんぱく質や食物繊維、抗酸化作用の高いビタミンCやポリフェノールは葉の方が多く含まれています。一方でβ-カロテンは根よりも少ないため、根と葉の両方をとるのがおすすめです。

葉付きの人参を手に入れた際は、ぜひ葉の部分も和え物や炒め物などにしてお召し上がりください。(※7)

人参に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

フィトケミカル(ファイトケミカル)は、人参の皮や果肉に含まれています。人参に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで

・クマリン
・βカロテン

です。クマリンは抗炎症作用をもち、がん組織の増殖やがん細胞が体内へ侵入するのを防ぐ働きがあります。(※8)

βカロテンはカロテノイドのひとつで、強い抗酸化作用をもち活性酸素を取り除く作用があります。また動脈硬化の予防や老化、がんの発生に対しての予防効果もあると考えられています。(※9)

「人参」はダイエット向きの食材?

人参100g当たりのカロリーは35kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。

食物繊維も多く含まれ、便秘解消にも効果があるためダイエット中の方におすすめの食材といえます。

「人参」の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

人参の栄養を逃さない!おすすめの調理方法

・炒める    ★★★
・生      ★★☆
・煮る     ★☆☆

人参に含まれるカロテンは脂溶性ビタミンのため、油を使った調理で吸収率が上がります。サラダにしてオイル入りのドレッシングをかける、炒め物、揚げ物など油と一緒に調理することで吸収力がアップします。

人参にはビタミンCを破壊するアスコルビナーゼという酵素が含まれています。生のままスムージーやジュースなどすりおろしにする場合は、レモン汁を加えるかすぐに召し上がるとビタミンCの損失が少なくてすみます。

煮物や炒め物などの加熱調理では熱に弱いビタミンCが、茹でる調理では水溶性ビタミンが減少してしまう可能性があります。調理法によってとれる栄養素も異なるため、色々な調理法で召し上がるのがおすすめです。(※10)

人参の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

「人参」栄養価を失わない正しい保存方法

人参を含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特に人参は水分が全体の約90%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。

<冷蔵庫保存の場合> 冷蔵庫で1~3週間ほどもち、長期の保存に適した野菜です。水気があると腐りやすいため、キッチンペーパーなどに包んでビニール袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に立てて保存しましょう。使いかけの人参はラップで包むか、ポリ袋に入れて野菜室へ入れましょう。

<冷凍保存の場合> 1か月程度であれば冷凍庫にて保存が可能です。使いやすい大きさに切って冷凍用保存袋に入れ冷凍庫で保存します。(※10,11)

岩崎真宏

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。

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