- 実がなる野菜(果菜類)
スーパーなどでも販売されている「アボカド」。アボカドの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「アボカド」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー5にあたる食品です。
「アボカド」は中南米を原産とするクスノキ科の食材です。表皮は緑色や紫黒色、果肉は緑色もしくは黄色で肉質は軟らかく脂肪分が豊富なため「森のバター」とも呼ばれています。アボカドは野菜だと思っている方も多いと思いますが、実は果物の仲間に属しています。
一般的に食用として流通している3種類のアボカドの違いについて解説します。
普段見かけるアボカドのほとんどは中南米からの輸入品で、90%以上が「ハス」という品種です。見た目は卵型で果皮はザラザラとしています。食べごろの目安は皮の色で、黒っぽくなると熟したサインです(※1)。
果実は洋ナシのような形をしていて、ハス種に比べると少し大きい品種です。寒さに強く、熟してもハス種のように果皮の色は黒っぽくならないのが特徴です。なめらかな果肉で味も美味しいと言われています。しかし、生産量は少ないため、あまりお目にかかることはありません(※2)。
果実は卵形で寒さに強いため、国内でも育てることができる品種です。表面はつるつるで、果皮は濃い緑色です。「フェルテ」と同じく食べごろになっても果皮の色は変わりません。果肉は舌触りも良く、味も美味しいと言われる品種です。こちらも生産量は少ないため、スーパーなどで見かけることはほとんどありません(※2)。
アボカドは世界一栄養価の高い果物として「ギネスブック」にも認められています。普段の食生活で不足しやすい食物繊維やビタミンB群、ビタミンC、ビタミンE、カリウム、葉酸、オレイン酸など幅広い栄養素を含み、健康や美容が気になる方にはおすすめの食材です。
それでは「アボカド」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 176kcal
水分 71.3g
たんぱく質 2.1g
脂質 17.5g
炭水化物 7.9g
カリウム 590mg
カルシウム 8mg
葉酸 83μg
ビタミンC 12mg
食物繊維:5.6g
糖質:2.3g
一般的な果物のなかでもカロリーは高いと言えます。
一般的な「アボカド」1個の皮や種を除いた可食部は140g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。
アボカドは「食物繊維」が豊富な食材です。食物繊維には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がありますが、アボカドは両方の食物繊維を含んでいます。
水溶性食物繊維の働きは、
・血糖値の上昇を抑える
・血中のコレステロール値を下げる
・高血圧の予防
です。また、糖尿病や脂質異常症、動脈硬化などの生活習慣病予防にも効果が期待できます。
不溶性食物繊維は
・整腸効果
・便秘の改善
・大腸がんの予防・改善
などに効果的と言われています(※3)。
アボカドには脂質が豊富に含まれていますが、そのほとんどがオレイン酸です。オレイン酸はn-9系脂肪酸の一種で、体内でも合成されます。HDL(善玉)コレステロールは下げず、LDL(悪玉)コレステロール濃度を減少させる効果があります(※4)。
ビタミンEは脂溶性ビタミンで、油と一緒にとることで吸収率が上がりますが、アボカドには脂質が含まれているため効率的にビタミンEをとることができます。ビタミンEは抗酸化作用が強く、血中のLDL(悪玉)コレステロールの酸化を防いで血管の健康を保ってくれます。また、細胞の酸化を防ぎ、老化防止の効果も期待できます(※5)。
カリウムは高血圧に関わるナトリウムの排泄を促進し、血圧を下げる効果があります。また、細胞の水分を調整する役割もあり、むくみが気になる方におすすめの栄養素です(※6)。
ビタミンKは骨の形成をサポートする働きがあります。ビタミンEと同じく脂溶性ビタミンのため、油と一緒にとることで吸収率が上がります(※7)。
葉酸はDNAやたんぱく質などの合成をサポートする働きがあります。特に妊娠中の方には厚生労働省から葉酸の積極的な摂取が推奨されています(※8)。
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
フィトケミカル(ファイトケミカル)は、アボカドに多く含まれています。特に、アボカドでは皮に近い深緑色の果肉に多く存在しています。アボカドに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで
・キサントフィル
・植物ステロール
です。カロテノイドのひとつであるキサントフィルは活性酸素の発生を抑える作用を持ち、動脈硬化の予防や老化、がんにも効果があると言われています(※9)。
植物ステロールはコレステロール低下作用があり、血管の健康を高めてくれます(※10)。
アボカド100g当たりのカロリーは176kcalと高めですが、食物繊維などの栄養素が豊富でダイエット向きの食材と言えます。
実際に、アメリカの臨床試験データでは肥満の方に昼食時、アボカドを半分食べてもらった結果、食後の満腹感が高まり3~5時間後の食欲が低下するという報告(※11)や、アメリカのイリノイ大学の研究では肥満の女性にアボカドを毎日1個摂取してもらった結果、腹部の脂肪が減少したという報告(※12)もされています。
このように満腹感が得られ、脂肪を減らす効果も期待できるため、アボカドはダイエット中にもおすすめの食材と言えるでしょう。
アボカドの目安は1日1/2個〜1個ですが脂質が多く高カロリーなため、ほかの食品との栄養バランスを考えてとりましょう。揚げ物をやめてアボカドにするなど、アボカドをプラスする分、ほかで脂質やカロリーを減らすよう心がけると良いですね。
アボカドの栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・生 ★★★
・煮る ★★☆
・揚げる ★☆☆
栄養価が高いアボカドですが加熱調理ではビタミンCが流出してしまう可能性があるため、サラダや和え物など生で食べる調理法がおすすめです。煮る場合、ポタージュスープなど汁ごと食べる調理法であれば栄養価を失うことなく摂取できます。揚げる場合、油の摂取量が増えてしまうため、脂質のとり過ぎに注意が必要です。
アボカドを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。
<冷蔵庫保存の場合> 丸ごと保存する場合、熟していないアボカドは直射日光を避けて4〜5日間室温で保存し、熟れたら冷蔵庫に入れることで2〜3日間は保存できます。切った場合は表面にレモン汁をかけてラップで包み、冷蔵庫へ入れることで1日保存できます。
<冷凍保存の場合> 食感は変わりますが、1か月程度であれば冷凍庫にて保存が可能です。
・アボカドを切って種と皮を取り除く
・冷凍用保存袋などファスナーの付いている袋に入れ、空気をしっかり抜いて保存
ただし、品質は劣化していくため、冷凍保存でも早めに召し上がることをおすすめします。