ブロッコリーの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

ブロッコリーの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「ブロッコリー」。ブロッコリーの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「ブロッコリー」とは?基本の2種類とその栄養や食感の違い

「ブロッコリー」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。
「ブロッコリー」はアブラナ科アブラナ属の野菜です。キャベツの1種がイタリアで品種改良されたものがブロッコリーです。

ブロッコリーに似た野菜としてカリフラワーがあり、そのうち白いカリフラワーはブロッコリーの1種といわれています。「(※1)」

一般的な食用として流通しているブロッコリーには主に下記2種類があります。

・頂花蕾(ちょうからい)型
・わき芽型

食品カテゴリーマップ

ブロッコリー:頂花蕾(ちょうからい)型

一般的に日本でブロッコリーとして認知されているのは、頂花蕾型です。冬に多く出荷されています。茎の先端に大きな花をつけるのが特徴です。

ブロッコリー:わき芽型

茎の部分が長いのが特徴です。一般的なブロッコリーの蕾(つぼみ)がひとつなのに対し、わき芽型は蕾が複数ついています。茎ブロッコリーとも言わ言われ、やわらかく、甘味を感じるでしょう。

「ブロッコリー」に栄養素がないって本当?

ブロッコリーは栄養素が豊富です。

・たんぱく質
・食物繊維
・ミネラル
・ビタミン
・フィトケミカル

をバランス良く含んでいます。

これらの栄養素は免疫力を高めたり、炎症を抑えたり、ガンや心臓病を予防する効果があるとされています。

ブロッコリーの栄養素

「ブロッコリー」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「ブロッコリー」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

ブロッコリー100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー 37kcal

水分 86.2g
たんぱく質 5.4g
脂質 0.6g
炭水化物 6.6g
ビタミンA(βカロテン) 900μg
ビタミンK 210μg
ビタミンC 15mg
カリウム 460mg
鉄 1.3mg
葉酸 220μg
食物繊維:5.1g
糖質:3.1g

ブロッコリーは、一般的な野菜の中でもカロリーはわずかに高いといえます。

一般的な「ブロッコリー」の1株が200〜300g、大きいもので500gくらいです。数値算出の際のご参考になさってください。

ブロッコリーに含まれる栄養1:たんぱく質

ブロッコリーのたんぱく質が豊富な理由は、アミノ酸の1種であるアスパラギン酸が豊富に含まれているからです。野菜の中でもたんぱく質を豊富に含んでおり、カロリーを抑えつつたんぱく質を摂取できる食品です。

ブロッコリーに含まれる栄養2:食物繊維

ブロッコリーを食べることで摂取できる2つ目の栄養素は「食物繊維」です。ブロッコリーには、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ、

・整腸効果
・便秘の改善
・糖尿病の予防・改善
・大腸ガンの予防・改善

などに効果的といわれています。

ブロッコリーに含まれる栄養素3:ビタミンC

ブロッコリーに含まれるビタミンCは肌の調子を整えるビタミンで、特に女性にとっては、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑制することで知られています。また、ビタミンCは歯や骨の健康を保ち、血管を丈夫にすることで、動脈硬化を防ぐ効果も期待できます。老化の原因とされている、活性酸素を分解する働きもあるため、積極的に摂取をしたいビタミンです。

ビタミンCの欠乏により、

・筋力低下
・疲労
・イライラする

などがおこり、重度のビタミンC欠乏症では、

・あざ
・歯や歯茎のトラブル
・毛髪や皮膚の乾燥
・貧血

のリスクがあります。(※3)

ブロッコリーに含まれる栄養素4:ビタミンK

ビタミンKはビタミンK1とK2に分類されます。ブロッコリーに含まれているのは、ビタミンK1です。ビタミンK2は体の中の腸内細菌が産生しています。

ビタミンKの役割で知られているのは以下3つです。(※4)

・血液凝固
・骨の形成のサポート
・動脈の石灰化の防止

ビタミンKが欠乏すると、血液凝固の遅延がおこります。つまり出血が止まりにくくなるのです。しかし現代人において、ビタミンKの欠乏症になることは稀です。

ブロッコリーに含まれる栄養素5:ビタミンA(βカロテン)

ブロッコリーに含まれるβカロテンは、体の中でビタミンAに変わります。

ビタミンAは抗酸化ビタミンと言われ、活性酸素の働きを抑えるもの。「(※5)」活性酸素とは老化や病気の原因になり、呼吸をするうえで必ず発生します。

本来、体内にある酵素により、活性酸素は除去されます。しかし年齢とともに酵素の量が減るため、活性酸素を除去しづらくなります。老化や病気の予防には、減った酵素の量を補う抗酸化ビタミンが必要になるでしょう。(※6)

ブロッコリーに含まれる栄養素6:葉酸

妊娠中に妊婦さんに積極的な摂取が推奨されている葉酸はビタミンB群に属するビタミンです。細胞の増殖をうながすDNAの合成をサポートする他、赤血球の生成をサポートする働きがあります。そのため、貧血の方には嬉しい「造血ビタミン」とも呼ばれています。

ブロッコリーに含まれる栄養素7:カリウム

ブロッコリーに含まれるカリウムの役割は以下です。(※7)

・高血圧の解消
・むくみの解消
・筋肉の痙攣を抑える

これらの効果は、カリウムの塩分(ナトリウム)を排出する作用により起こります。

カリウムが不足すると、

・脱力感
・食欲不振
・筋無力症
・精神障害
・不整脈

のリスクがあるとされています。(※8)

ブロッコリーに含まれる栄養素8:鉄

鉄は赤血球中のヘモグロビンとくっついて、酸素を体中へ運ぶ役割をしています。
鉄が不足すると貧血を起こしやすくなります。赤血球の数が足りなくなり、酸素が体中にいきわたらなくなるためです。

貧血に加えて、酸素不足になると

・集中力の低下
・頭痛
・食欲不振
・筋力低下

などが起こります。(※9)

ブロッコリーに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

フィトケミカル(ファイトケミカル)は、ブロッコリーやブロッコリースプラウトに多く含まれています。ブロッコリースプラウトとは、ブロッコリーの新芽のことです。ブロッコリーに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は

・スルフォラファン
・カロテノイド

の2つです。スルフォラファンは含硫化合物に属し、すぐれた解毒・抗酸化作用が注目されている物質です。カロテノイドも強い抗酸化作用が注目されています。(※10)

「ブロッコリー」はダイエット向きの食材?

ブロッコリー100g当たりのカロリーは37kcalで、ご飯やパンなどの主食と置き換えた場合、ダイエット向きの食材といえるでしょう。

ダイエットで不足しがちなたんぱく質もブロッコリーを食べることで補えるでしょう。さらに、歯ごたえのおかげで食べ応えもあり、低カロリーで満腹感を得る助けになります。食物繊維も多く含まれ、便秘解消にも効果があるためダイエット中の方におすすめの食材です。

「ブロッコリー」の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

ブロッコリーは生で食べると栄養素が余すことなく摂取できる反面、消化に負担がかかります。調理によって多少栄養素は失われてしまいますが、加熱することをおすすめします。

おすすめしたい調理法は、蒸す方法とレンジを使う方法です。ビタミンなどの栄養素の損失が少なく、素材の味を楽しむのに適しています。蒸したブロッコリーを冷ますときは自然に冷ましましょう。冷水をかけると、水溶性のビタミンが流れやすくなるからです。

 

焼く、炒める(※11):油を使って調理することで、ビタミンAやスルフォラファンの吸収率を上げられます。さらに水分も抜けて、うまみが凝縮されます。しかし長時間炒めると、栄養素の損失が大きくなります。

おすすめのレシピは、焼きブロッコリーチーズです。

 

煮る、ゆでる(※11):スープやシチューにブロッコリーをいれるときは、煮汁ごと一緒に食べると、スープに溶け出た栄養素も摂取できるでしょう。

この際、ブロッコリーの下ゆではおすすめしません。下ゆでを行うことで水溶性ビタミンとされている、ビタミンB群・ビタミンCが溶け出してしまうからです。下ゆでではなく、電子レンジで3分程加熱をする、電子レンジ調理がおすすめです。

おすすめのレシピは、ブロッコリーと卵のスープです。

 

揚げる(※12):油で揚げた場合、水溶性ビタミン(ビタミンCやビタミンB群)が保たれやすくなります。一方で、脂溶性ビタミンが(ビタミンA・D・E・K)揚げ油へ溶けだしやすく、高カロリーになりやすい調理法です。

ブロッコリーはビタミンAやKが含まれているため、揚げることは栄養素のロスにつながります。しかしビタミンCの保持には適した調理法です。

おすすめレシピは、ブロッコリーの唐揚げです。

ブロッコリーの栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

「ブロッコリー」栄養価を失わない正しい保存方法

ブロッコリーを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にブロッコリーは水分が全体の約86%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。

ブロッコリーは新鮮なうちに調理して食べましょう。ブロッコリーは収穫した後も成長を続ける野菜のため、日が経つにつれて栄養素は失われていきます。特に常温での保存は、栄養を失う速度が早いため、冷蔵か冷凍で保存しましょう。

<冷蔵庫保存の場合> 湿らせたキッチンペーパーでブロッコリーを包み、ポリ袋に入れて保存しましょう。野菜室ではなく冷蔵室がおすすめです。容器などに立てて保存すると、傷みにくくなるため、長持ちします。ゆでてから保存する場合は、自然に冷ましてから容器へ立てて入れます。この際、容器の底に濡れたキッチンペーパーを敷きましょう。濡れたキッチンペーパーを敷く理由は、野菜の乾燥を防ぎ、しなびにくくするためです。

<冷凍保存の場合> ブロッコリーは、ゆでてから冷凍するのがおすすめです。栄養素の保持や解凍するだけで食べられる利点があるからです。食べやすい大きさにカットし、ゆでて粗熱をとった後、保存用の袋に入れます。この際、保存用の袋の中でブロッコリーを重ねないようにしましょう。重ねると上のブロッコリーが下のものを押しつぶしてしまい、傷みやすいからです。

岩崎真宏

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。

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