スーパーやコンビニでも販売されている「卵」。卵の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
Contents
「卵・たまご」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー2Dにあたる食品です。「卵・たまご」は大きさや殻の色、有精卵・無精卵などによって分けられています。それぞれの種類や栄養の違いについて、詳しく解説します。
卵の大きさは農林水産省で定めた鶏卵の取引要綱によってLL〜SSの6段階に分けられています(※1)。
LL 70g以上76g未満
L 64g以上70g未満
M 58g以上64g未満
MS 52g以上58g未満
S 46g以上52g未満
SS 40g以上46g未満
「サイズに関係なく卵の黄身は同じ重さで白身の量が異なるだけ」という話を聞いたことがある方もいらっしゃるかと思います。しかし、畜産技術センターが実際に調べたところ、サイズが大きければ黄身も大きくなるという結果が出ています(※2)。
羽毛が白いホワイトレグホンなどの鶏種は殻の白い「白玉」、羽毛が褐色もしくは黒色に近いロードアイランドレッドなど鶏種は、茶色がかった「赤玉」を産む傾向があります。赤玉の方が栄養豊富に見えますが、実際は殻の色によって栄養価に違いはありません(※1)。
スーパーなどで一般的に売られている卵は無精卵です。有精卵と無精卵の違いは「受精しているかどうか」だけで栄養面での違いは無いと言われています(※3)。
卵黄の色素成分はカロテノイドと言われるフィトケミカル(ファイトケミカル)の一種です。色が濃い卵黄の方がカロテノイドを多く含むので良いと思われがちですが、実際には栄養的に違いが出るほど含まれる量に差はありません(※4)。
それでは「卵・たまご」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカル・phytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 142kcal
水分 75.0g
たんぱく質 12.2g
脂質 10.2g
炭水化物 0.4g
カリウム 130mg
カルシウム 46mg
葉酸 49μg
ビタミンC 0mg
食物繊維 0g
糖質 0.4g
卵は良質なたんぱく質豊富にを含む食材です。たんぱく質は筋肉や血液などからだをつくる栄養素として知られていますが、ほかにも酵素やホルモンとして代謝や体の機能を調節する働きもあり、私たちにとって欠かせない栄養素です(※5)。一般的な「卵・たまご」1個のタンパク質の量は60g程度ですので、数値算出の際のご参考になさってください。
卵を食べることで摂取できる2つ目の栄養素は「レシチン」です。レシチンは脂質のひとつで卵の黄身に含まれており、脳など体の神経組織を構成する重要な役割を担っています。
レシチンの効果として、以下があげられます(※6)。美容や健康にも有益な栄養素です。
・アルツハイマー型認知症の予防
・動脈硬化の予防
・肝臓の機能を高める
・脂質の代謝を活発にする
・美肌効果
リノール酸はn-6系脂肪酸のひとつで、体内でつくることができない必須脂肪酸です。リノール酸を含むn-6系脂肪酸は、適度な摂取でLDL(悪玉)コレステロール値を低下させ心臓病などの心血管疾患のリスクを軽減させることが知られています(※7)。
オレイン酸はn-9系脂肪酸のひとつで、体内でも合成されます。HDL(善玉)コレステロール値は下げず、LDL(悪玉)コレステロール値を減少させる効果があることから、日々の食事にも取り入れたい栄養素です(※8)。
卵黄にはミネラルの一つである亜鉛が含まれています。亜鉛はたんぱく質やDNAをつくるサポートをするほか、免疫反応などにも幅広く関与しています。また、アルコールを飲む方は亜鉛の排出量が増えるため、意識してとりたい栄養素です(※9)。
レバーや肉類に含まれるイメージの鉄ですが、実は卵にも鉄が含まれています。鉄の働きは血液の運搬のほか、ホルモン合成にも必要です。女性にとっては特に不足しやすい栄養素となります(※10)。
骨の成分として大切なカルシウムは、卵では卵白よりも卵黄に多く含まれています。カルシウムが不足すると、骨粗しょう症の原因となることが知られています。女性は閉経後に骨粗しょう症のリスクが高くなるため(※11)、若いうちから日常的にカルシウムを含む食材を摂る習慣をつけておくことがおすすめです。
卵はたんぱく質、脂質のほかミネラル(カルシウム、亜鉛、鉄など)とビタミン(A・B1・B2・D・Eなど)も含み「完全栄養食品」と呼ばれるほど栄養価が高い万能な食材です。
特に「アミノ酸スコア」は満点の100と、質の良いたんぱく質を含んでいます。「アミノ酸スコア」はたんぱく質を構成する必須アミノ酸がバランス良く含まれているか、という視点から評価したスコアで良質なたんぱく質ほど高得点となります。
人間が体内で生成することができず、植物を食べることで摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の機能性成分。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は、大きく以下の5種類に分類されます。
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
フィトケミカル(ファイトケミカル)は、卵の黄身に多く含まれています。卵に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は1種類で「卵黄カロテノイド」です。
卵の卵黄には卵黄カロテノイドというカロテノイドのひとつが含まれています。カロテノイドは強い抗酸化作用を持ち、活性酸素の発生を抑えることで動脈硬化の予防や老化の予防、がんの発生を抑える効果があることが広く知られています(※12)。
卵100g当たりのカロリーは142kcal(1個あたりおよそ80 kcal)で、糖質が少なく良質な脂質やたんぱく質を含むことからダイエット向きの食材と言えます。
食物繊維とビタミンCは含まないため、野菜や果物などほかの食材も組み合わせてバランス良く食べることで効率良く栄養補給をすることができ、ダイエット中の方におすすめの食材と言えます。
卵の栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・生 ★★★
・焼く ★★☆
・茹でる ★★☆
生卵では、加熱で失われがちなビタミンB群をとることができます。卵焼きや目玉焼きなど油と一緒に調理することで脂溶性ビタミンであるビタミンA、D、E、Kの吸収率が上がります。茹でることで水溶性であるビタミンB類の損失が大きくなります。加熱調理する場合は汁ごと食べることができるスープやみそ汁がおすすめです。
卵は丼ものや茶碗蒸しなど和洋中問わず人気のレシピが多く、健康やダイエットにもおすすめなので、ぜひ日々のメニューに取り入れてみてはいかがでしょうか。
卵の賞味期限は、一般的に生で食べることができる期限が表示されています。そのため、期限を過ぎた場合でも加熱調理を行えば食べることができます。(ただし、保存状態に不安がある、割ったときに異変があるという場合は廃棄しましょう)
<冷蔵庫保存の場合> 卵は食品衛生法で10℃以下の保存が推奨されているため、常温よりも冷蔵庫での保存が望ましいです。
<冷凍保存の場合> 生のまま殻付きで冷凍保存することは卵に殻の割れや品質の変化が生じるためおすすめできません。卵を冷凍保存したい場合は、加熱調理後に保存しましょう(※1)。