- 果物・果実的野菜
スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「バナナ」。バナナの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
Contents
「バナナ」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー6にあたる食品です。
「バナナ」は「甘蕉(かんしょう)」や「実芭蕉(みばしょう)」とも呼ばれています。バショウ科バショウ属のうち果実を食用としたときの総称です。農林水産省において、バナナは果物とされています。(※1)
一方園芸学上では野菜(※2)に分類され、果物と野菜の両面をもっています。
バナナは品種ごとに、特徴が異なります。一般的な食用として流通しているバナナには主に下記4種類があります。
・キャベンディッシュ
・セニョリータ
・モラード
・ラツンダン
さらに料理用とされているバナナは、下記3種類です。(※3)
・ツンドク
・カルダバ
・リンキッド
日本に輸入されているバナナのほとんどがキャベンディッシュ。キャベンディッシュは病気に耐性があり、気候や土壌に適応しやすいため、栽培しやすい品種です。果皮は厚く、果肉は繊維質でやや水分が多い、甘くてクリーミーな味です。
レディフィンガーやモンキーバナナとも言われています。小型のバナナで果皮も薄いバナナです。果肉は繊維質で甘く、濃厚でねっとりとした食感があります。
果皮が赤紫〜赤茶色で厚く、「レッドバナナ」とも言われる品種です。甘味はあっさりとして、やや酸味があります。
フィリピンでは食用として知られています。果皮は薄く、バナナの大きさは小〜中型でやや太く短いバナナです。とても甘味が強くやや酸味のある品種です。
調理用のバナナです。牛の角に似ているため、ボーンバナナと言われています。一般的なバナナよりもかなり大きく、40cmの長さを超えるものもあります。果皮は緑で、調理せず食べると渋みを感じます。
調理用のバナナです。一般的なバナナと比較し、角ばっているのが特徴。フィリピンで生産されています。
調理用のバナナです。房が全部ひとつの塊になっており、手で房ごとにわけられません。
バナナは栄養素が豊富で、食物繊維やミネラル、ビタミンがバランス良く含まれています。
加えて、バナナに含まれる炭水化物もエネルギーに変換されやすいとされています。これにより運動のパフォーマンス向上や疲労回復の効果を期待されています。(※4)
それでは「バナナ」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 93kcal
水分 75.4g
たんぱく質 1.1g
脂質 0.2g
炭水化物 21.1g
カリウム 360mg
カルシウム 6mg
マグネシウム 32mg
葉酸 26μg
ビタミンC 16mg
ビタミンB1 0.05mg
ビタミンB2 0.04mg
ナイアシン 0.7mg
ビタミンB6 0.38mg
食物繊維:1.1g
糖質:19.4g
一般的な果物と比較した場合、バナナ100gあたりのカロリーは高いと言えます。
一般的な果物の水分量は80%〜90%です。しかしバナナの水分量は、75%程度となっているため、100gあたりのカロリーが高い原因と思われます。
バナナの糖質は、以下3種類が中心に含まれています。
・ブドウ糖
・果糖
・ショ糖
これらの糖の違いは、エネルギーになるための早さです。ブドウ糖や果糖がもっとも早くエネルギーへ変化し、次にショ糖の順となります。
早さの違う3種類の糖類が含まれているため、即効性と持続性を合わせもつ糖質源として、バナナは優れています。
バナナに含まれるカリウムの役割は以下です。(※6)
・高血圧の解消
・むくみの解消
・筋肉の痙攣を抑える
これらの効果は、カリウムの塩分(ナトリウム)を排出する作用により起こります。
カリウムが不足すると、
・脱力感
・食欲不振
・筋無力症
・精神障害
・不整脈
のリスクがあるとされています。(※7)
ビタミンB1の役割は、糖をエネルギーに変えるサポートをしています。(※8)
極端な話、ビタミンB1がなければ糖質をいくら食べてもエネルギーになりません。
バナナは糖質とビタミンB1が含まれる食品なため、効率良くエネルギーを摂取できます。
疲れやだるさを感じやすい方は、積極的にバナナを摂ると良いでしょう。
ビタミンB1は調理すると失われやすい栄養素です。しかしバナナは調理せず食べられる品種がたくさんあるため、ビタミンB1の摂取源として優れています。
バナナに含まれるビタミンB2は、発育ビタミンと言われています。(※9)
ビタミンB2の役割は、脂質をエネルギーに変えるサポートです。脂質が必要とされる体の組織の成長に役立っています。
例えば、
・皮膚
・爪
・髪の毛
の健康を、ビタミンB2が保っています。
ビタミンB2が不足すると皮膚の健康が保てなくなるため、以下の炎症が発生しやすくなります。(※9)
・口内炎
・口角炎
・舌炎
・脂漏性皮膚炎
・角膜炎
バナナに含まれるナイアシンは、ビタミンB群のひとつです。ニコチン酸とニコチンアミドの総称でもあります。
ナイアシンは3大栄養素(糖質・脂質・タンパク質)のエネルギー変換を間接的に助けています。
ナイアシンの欠乏で、ペラグラ(pellagra)になると報告されています。(※10)ペラグラ(pellagra)とは日光がきっかけになり、体のさまざまな部分に炎症がおこる病気です。
バナナに含まれるビタミンB6は、たんぱく質の代謝に関係しています。(※11)
具体的には、
・髪の毛
・歯
・皮膚
・神経
を正常な状態にするサポートをしています。
ビタミンB6の欠乏は、体の炎症だけでなく、神経の異常の原因にもなります。ビタミンB6不足でおこる神経の異常は、以下が報告されています。
・うつ状態
・錯乱
・脳波異常
・痙攣発作
バナナにはセロトニンの材料になるトリプトファンが含まれています。
セロトニンは神経伝達物質のひとつで、脳に存在しています。セロトニンは神経を落ち着かせたり、睡眠の質の向上が期待できる物質です。一方セロトニンが不足すると、精神が不安定になったり、寝つきが悪くなったりします。(※12)
セロトニンの生成にはビタミンB6がかかわってきます。トリプトファンとビタミンB6を同時に摂れるバナナはセロトニンを増やしたい方におすすめの食べ物です。
妊娠中に妊婦さんに積極的な摂取が推奨されている葉酸はビタミンB群に属するビタミンです。細胞の増殖をうながすDNAの合成をサポートするほか、赤血球の生成をサポートする働きがあります。そのため、貧血の方には嬉しい「造血ビタミン」とも呼ばれています。
バナナには、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ、
・整腸効果
・便秘の改善
・糖尿病の予防・改善
・大腸ガンの予防・改善
などに効果的と言われています。
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
フィトケミカル(ファイトケミカル)のうち、バナナにはポリフェノールが含まれ、抗酸化作用が注目されています。
抗酸化作用とは、老化や病気の原因になる活性酸素を体から除去し、酸化ストレスを軽減することです。
バナナ100g当たりのカロリーは93kcalです。同じく糖質源となる主食のご飯やパンと比較すると、ダイエット向きの食材といえます。
バナナには食物繊維も多く含まれ、便秘解消にも効果があるためダイエット中の方におすすめの食材といえます。さらに、バナナに含まれるビタミンB群は脂肪の燃焼を促進するといわれています。
バナナのおすすめの食べ方は、生のまま食べることです。しかしバナナをそのまま食べるのが苦手だったり、調理用のバナナが手に入る場合は、なるべく栄養を逃さない調理をしましょう。
焼く、炒める(※13):バナナを焼くと水分が抜け、濃い甘味を感じられます。しかし焼くことで、バナナのビタミンやミネラルが一部壊れる可能性があります。熱にさらされる時間が長くなると、栄養素の損失が大きくなるでしょう。
おすすめのレシピは、トースターで皮ごと丸焼きバナナです。
<煮る、ゆでる>(※13):加熱することでかさが減り、量をたくさん食べられます。スープも一緒に食べると、スープに溶け出た栄養素も摂取できるでしょう。
バナナは下ゆでを行うことで水溶性ビタミンとされている、ビタミンB群・ビタミンCが溶け出してしまうため、下ゆでではなく、電子レンジで3分程加熱をする、電子レンジ調理がおすすめです。
おすすめのレシピは、バナナとミルクのオートミール粥です。
蒸す:加熱調理したとき失われやすい栄養素の損失が少ない料理法です。焼くや煮ると比較し、素材の味を楽しむのに適しています。
おすすめレシピは、蒸しバナナです。
揚げる(※14):油で揚げた場合、水溶性ビタミン(ビタミンCやビタミンB群)が保たれやすくなります。一方で、脂溶性ビタミンが(ビタミンA・D・E・K)揚げ油へ溶けだしやすく、高カロリーになりやすい調理法です。
バナナの主要な栄養素はビタミンCやビタミンB群なので、揚げることは多くの栄養素の保持につながるでしょう。
おすすめのレシピは、揚げバナナです。
バナナは賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にバナナは水分が全体の約75%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。
細菌繁殖のリスクを考えると、低温の方が良いと思われるでしょう。しかしバナナの場合、適した保存温度は14℃〜20℃といわれています。(※15)
つまりバナナは、常温での保存が適しています。
常温で保存する場合は、バナナスタンドなどに吊るすのがおすすめです。その理由は、バナナにかかる負荷の範囲を狭くできるため、傷む速度を遅くできるからです。
<冷蔵庫保存の場合> 夏の暑い時期は、20℃を超えてしまう日もあるでしょう。このようなときは冷蔵庫の方が劣化スピードを遅くできます。しかしバナナをそのまま冷蔵庫にいれると、バナナは低温障害になりやすいのです。これを防ぐため、新聞紙でバナナを包み、直接冷蔵庫の冷気をバナナに当てないようにしましょう。
<冷凍保存の場合> 食感は変化しますが、1か月程度であれば冷凍庫にて保存が可能です。しかし食材は、冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきます。こちらも1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。