きゅうりの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

きゅうりの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「きゅうり」。きゅうりの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「きゅうり」とは?基本の4種類とその栄養や食感の違い

「きゅうり」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。

「きゅうり」はウリ科キュウリ属であり、果実または野菜として分類されています。原産地は西インド北西部と推定され、日本で重要な野菜になったのは、江戸時代末期でした。(※1)
きゅうりは白いぼきゅうりと黒いぼきゅうりにわけられます。日本で流通しているほとんどは、白いぼきゅうりです。

さらに品種改良によってさまざまなきゅうりが登場しています。白いぼきゅうりと黒いぼきゅうりにくわえ、日本のスーパーや飲食店でよく見かける2種類「(※2)」のきゅうりもあわせて紹介いたします。

食品カテゴリーマップ

白いぼきゅうり

日本で大量に流通しているのが、白いぼきゅうりです。皮は薄く果肉がみずみずしいため、そのまま食べるだけでなく、さまざまな料理に使用できます。旬の時期は夏から秋にかけてですが、栽培方法の普及によって1年を通してスーパーで手に入りやすいきゅうりです。

黒いぼきゅうり

1960年以前は、黒いぼきゅうりが全国的に流通していました。しかし白いぼきゅうりの登場によって生産量が減っています。現在は、九州や四国で栽培されています。
旬の味は白いぼきゅうりに劣るとされています。皮は厚く、味も濃いことにより、炒めもののような加熱する料理に向いています。

いぼなしきゅうり

名前のとおりいぼなしきゅうりは、いぼがありません。カット野菜などの加工食品において、きゅうりのいぼは雑菌繁殖の一因であるとされました。よって、外食・コンビニエンスストアでは日持ちをさせるために、いぼなしきゅうりを使っているケースが多いのです。
黒いぼや白いぼきゅうりとくらべ、短く太めで果皮の柔らかさが特徴です。雑菌繁殖もしにくいため、長持ちしやすいきゅうりです。

もろきゅうり

ほとんどのもろきゅうりは、黒いぼきゅうりが若くて小さい状態のきゅうりの総称です。黒いぼきゅうりは30cmくらいが普通の大きさですが、もろきゅうりでは10cm〜15cm程で収穫します。

果肉は緻密で、柔らかく歯ごたえがいいとされています。この状態のきゅうりは味噌と良く合い、そのまま味噌につける食べ方が知られています。

「きゅうり」に栄養素がないって本当?

きゅうりには栄養素がないと耳にしたことはないでしょうか。その背景として、ギネスにもっともカロリーの低い果実として登録された事実があります。カロリーはあくまで熱量の話であり、栄養素の一部です。
きゅうりは低カロリーですが、ビタミン・ミネラルを含んでいるため(※2)、決して栄養素のない食品ではありません。

「きゅうり」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「きゅうり」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemica)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

きゅうりに含まれる栄養素

きゅうり100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー 13kcal

水分 95.4g
たんぱく質 1.0g
脂質 0.1g
炭水化物 3g
カリウム 200mg
ビタミンK 34μg
葉酸 25μg
ビタミンA(βカロテン) 330μg
銅 0.11mg
モリブデン 4μg
ビタミンC 14mg
食物繊維:1.1g
糖質:2.0g

一般的な野菜の中でもカロリーは低いといえます。
長さ20cmあたりの一般的な「きゅうり」1本の重さが100g程度です。数値算出の際のご参考になさってください。

きゅうりに含まれる栄養1:カリウム

きゅうりに含まれるカリウムの役割は以下です。(※4)

・高血圧の解消
・むくみの解消
・筋肉の痙攣を抑える

これらの効果は、カリウムの塩分(ナトリウム)を排出する作用により起こります。

カリウムが不足すると、

・脱力感
・食欲不振
・筋無力症
・精神障害
・不整脈

のリスクがあるとされています。(※5)

きゅうりに含まれる栄養2:食物繊維

きゅうりを食べることで摂取できる2つ目の栄養素は「食物繊維」です。きゅうりには、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ

・整腸効果
・便秘の改善
・糖尿病の予防・改善
・大腸ガンの予防・改善

などに効果的といわれています。

きゅうりに含まれる栄養素3:ビタミンC

きゅうりに含まれるビタミンCは肌の調子を整えるビタミンで、特に女性にとっては、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑制することで知られています。また、ビタミンCは歯や骨の健康を保ち、血管を丈夫にすることで、動脈硬化を防ぐ効果も期待できます。老化の原因とされている、活性酸素を分解する働きもあるため、積極的に摂取をしたいビタミンです。

ビタミンCの欠乏により、

・筋力低下
・疲労
・イライラする

などがおこり、重度のビタミンC欠乏症では、

・あざ
・歯や歯茎のトラブル
・毛髪や皮膚の乾燥
・貧血

のリスクがあります。(※6)

きゅうりに含まれる栄養素4:ビタミンA(βカロテン)

きゅうりに含まれるβカロテンは、体内でビタミンAに変わります。

ビタミンAは抗酸化ビタミンといわれ、活性酸素の働きを抑えるもの。(※7)
活性酸素とは老化や病気の原因になるもので、呼吸をする上で必ず発生します。

本来、体内にある酵素により、活性酸素は除去されます。しかし年齢とともに酵素の量が減るため、活性酸素を除去しづらくなります。老化や病気の予防には、減った酵素の量を補う抗酸化ビタミンが必要になるでしょう。(※8)

きゅうりに含まれる栄養素5:ビタミンK

ビタミンKはビタミンK1とK2に分類されます。きゅうりに含まれているのは、ビタミンK1です。ビタミンK2は体の中の腸内細菌が産生しています。

ビタミンKの役割で知られているのは以下3つです。(※9)

・血液凝固
・骨の形成のサポート
・動脈の石灰化の防止

ビタミンKが欠乏すると、血液凝固の遅延がおこります。つまり出血が止まりにくくなるのです。しかし現代人において、ビタミンKの欠乏症になることは稀です。

きゅうりに含まれる栄養素6:葉酸

妊娠中に妊婦さんに積極的な摂取が推奨されている葉酸はビタミンB群に属するビタミンです。細胞の増殖をうながすDNAの合成をサポートする他、赤血球の生成をサポートする働きがあります。そのため、貧血の方には嬉しい「造血ビタミン」とも呼ばれています。

きゅうりに含まれる栄養素7:銅・モリブデン

きゅうりに含まれる銅とモリブデンは、鉄の代謝に関わるミネラルです。(※10)(※11)鉄の代謝により、

・貧血
・動脈硬化
・心筋梗塞

のリスクの低下が期待されています。

一方モリブデンには、銅の排出をうながす働きもあります。モリブデンのみを過剰に摂取すると、体から銅が無くなり、鉄の代謝を遅くしてしまいます。(※12)

きゅうりはモリブデンと銅が含まれているため、モリブデンの過剰摂取による銅の欠乏がおこりにくい食品です。

きゅうりに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

きゅうりに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は、リグナンとククルビタシン類があります。

リグナンは抗酸化作用にくわえ、

・抗炎症作用
・抗菌作用
・抗がん作用
・免疫抑制活性(体の中で過剰におこっている異常な免疫反応を抑える効果)

があります。(※13)

ククルビタシン類は、ウリ科の苦味や独特の香りの成分です。きゅうりの蔕(へた)におおく含まれています。消炎や肌の美白効果が報告される一方、食中毒の原因になると示唆されています。いつもより強い苦味を感じるきゅうりは食べずに廃棄しましょう。(※14)

「きゅうり」はダイエット向きの食材?

きゅうり100g当たりのカロリーは13kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。

きゅうりは水分が多く、料理のかさを増やせるため、低カロリーでありながら満腹感を得るのに役立つ食品です。

「きゅうり」の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

きゅうりの栄養価を失わない食べ方は、生食です。ビタミンCやビタミンBなど水溶性の栄養素をそのまま摂取できます。洗うときは、さっと水洗い程度にしましょう。水にさらしても水溶性ビタミンは流出するからです。

生のまま食べるときにおすすめなのがドレッシングをかけることです。きゅうりに含まれるβカロテンは油と一緒だと吸収効率があがるからです。

一方、きゅうりは熱を加えることで食べやすくなったり、体を冷やす作用が緩和されたりします

焼く、炒める(※15):焼くときに油を使用すると、脂溶性ビタミン(ビタミンAやビタミンEなど)の吸収率をあげられます。さらに水分が減り、味が凝縮されるためうま味をより感じられるでしょう。しかし熱にさらされる時間が長くなると、栄養素の損失が大きくなります。 

おすすめレシピは、きゅうりのオーブン焼きです。

 

煮る、ゆでる(※15):加熱することでかさが減り、量をたくさん食べられます。スープも一緒に食べると、スープに溶け出た栄養素も摂取できるでしょう。 

きゅうりは下ゆでを行うことで水溶性ビタミンとされている、ビタミンB群・ビタミンCが溶け出してしまうため、下ゆでではなく、電子レンジで3分程加熱する方法がおすすめです。

おすすめレシピは、きゅうりのおかか煮です。

 

蒸す:加熱調理したとき失われやすい栄養素の損失が少ない料理法です。焼くや煮ると比較し、素材の味を楽しむのに適しています。

おすすめレシピは、きゅうりの肉巻きです。

 

揚げる(※16):油で揚げた場合、水溶性ビタミン(ビタミンCやビタミンB群)が保たれやすくなります。一方で、脂溶性ビタミンが(ビタミンA・D・E・K)揚げ油へ溶けだしやすく、高カロリーになりやすい調理法です。

きゅうりはビタミンAやKが含まれているため、揚げることは栄養素のロスにつながります。しかしビタミンCの保持には適しています。

おすすめのレシピは、きゅうりの唐揚げです。

きゅうりの栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

「きゅうり」栄養価を失わない正しい保存方法

きゅうりを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にきゅうりは水分が全体の約95%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。

一般にきゅうりの保存に適した温度は8℃〜10℃「(※15)」といわれています。

<冷蔵庫保存の場合> きゅうりの乾燥を防ぐため、きゅうりをラップや袋にいれて袋の口を閉じ、冷蔵室または野菜室で保存しましょう。水分を失うと、きゅうりはしなびやすくなるからです。

<冷凍保存の場合> きゅうりのパリッとした食感は損なわれますが、長持ちします。1か月程度であれば冷凍庫にて保存が可能です。たとえば、きゅうりをナムルにしたいときは冷凍保存が適しています。冷凍保存する前に塩もみして水分をなくすと、味しみが良くなるからです。

食材は冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきます。こちらも1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。

岩崎真宏

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。

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