- 実がなる野菜(果菜類)
スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「枝豆」。枝豆の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
Contents
「枝豆」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー2Aにあたる食品です。
枝豆は大豆の一部で、大豆の成熟過程で収穫したものが枝豆です。農林水産省の作物において、大豆は穀物ですが、枝豆は野菜とされています。(※1)
一般的な食用として流通している枝豆は、主に下記3種類があります。(※2)
日本で流通量の多い枝豆は白毛豆で、居酒屋のお通しとしても一般的です。
豆は緑色であり、さやの部分にうぶ毛が生えています。白毛豆でもどの時期に収穫するかで、さまざまな品種が存在します。
茶色の大豆が成熟する前に収穫したものが、茶豆の枝豆とされています。見た目は、豆薄皮が茶色いものです。
豆の数もさやひとつにつき2粒で、味は甘味が強く感じられるでしょう。
品種は、
・だだちゃ豆(山形県庄内)
・黒崎茶豆(新潟市)
が有名です。
黒色の大豆が成熟する前に収穫したものが、黒豆の枝豆とされています。豆の粒は大粒です。見た目は豆の薄皮にうっすらと黒いのが特徴。黒豆の大豆を、さやの中で黒くなる前に収穫するからです。味は甘く濃厚で、スイーツに使われるくらいです。
品種として、丹波黒枝豆が有名です。
枝豆は栄養素が豊富です。大豆は畑の肉とたとえられ、その一部である枝豆は大豆に近い栄養素を含んでいます。
野菜と分類されながらたんぱく質も豊富で、ビタミンやミネラルもしっかりと含んだ食材です。
それでは「枝豆」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemica)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 125kcal
水分 71.7g
たんぱく質 11.7g
脂質 6,2g
炭水化物 8.8g
ビタミンB1 0.31mg
ビタミンB2 0.15mg
カリウム 590mg
ビタミンC 27mg
食物繊維:5,0g
糖質:5.7g
一般的な野菜と比較すると、100gあたりのカロリーは高いと言えます。
枝豆は冷凍のパッケージでは300〜400gで売られています。上記のデータを数値算出の際のご参考になさってください。
野菜の中でも枝豆はたんぱく質を豊富に含んでいます。ご飯やパンの代わりに食べると、カロリーを抑えつつたんぱく質を摂取できる食品です。
枝豆を食べることで摂取できる2つ目の栄養素は「食物繊維」です。枝豆には、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維が共に含まれ、
・整腸効果
・便秘の改善
・糖尿病の予防・改善
・大腸ガンの予防・改善
などに効果的と言われています。
枝豆のビタミンCは肌の調子を整えるビタミンです。
特に女性にとっては、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑制することで知られています。また、ビタミンCは歯や骨の健康を保ち、血管を丈夫にすることで、動脈硬化を防ぐ効果も期待されます。老化の原因とされている、活性酸素を分解する働きもあるため、積極的に摂取をしたいビタミンです。
ビタミンCの欠乏により、
・筋力低下
・疲労
・イライラする
などがおこり、重度のビタミンC欠乏症では、
・あざ
・歯や歯茎のトラブル
・毛髪や皮膚の乾燥
・貧血
のリスクがあります。(※4)
ビタミンB1の役割は、糖をエネルギーに変えるサポートをしています。(※5)
極端な話、ビタミンB1がなければ糖質をいくら食べてもエネルギーになりません。
枝豆は糖質とビタミンB1が含まれる食品なため、効率良くエネルギーを摂取できます。
さらに、間接的に中枢神経や末梢神経の働きを正常に保つ作用もあります。ビタミンB1の欠乏は脳にエネルギーが届かなくなる原因になるからです。
脳のエネルギー源は、糖質のみです。つまり糖質からエネルギーを作るビタミンB1がなければ、脳にエネルギーが行きません。その結果、脳へ繋がっている神経に障害が出ます。(※5)
枝豆に含まれるビタミンB2は、発育ビタミンと言われています。(※6)
ビタミンB2の役割は、脂質をエネルギーに変えるサポートです。脂質が必要とされる体の組織の成長に役立っています。
例えば、
・皮膚
・爪
・髪の毛
の健康を、ビタミンB2が保っています。
ビタミンB2の不足で、皮膚の健康が保てなくなるので、以下の炎症が発生しやすくなります。(※6)
・口内炎
・口角炎
・舌炎
・脂漏性皮膚炎
・角膜炎
枝豆に含まれるカリウムの役割は以下です。(※7)
・高血圧の解消
・むくみの解消
・筋肉の痙攣を抑える
これらの効果は、カリウムの塩分(ナトリウム)を排出する作用によりおこります。
カリウムが不足すると、
・脱力感
・食欲不振
・筋無力症
・精神障害
・不整脈のリスク
があるとされています。(※8)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
大豆の栄養体である胚乳部分に、フィトケミカル(ファイトケミカル)が存在しています。枝豆に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大豆イソフラボンです。
大豆イソフラボンはポリフェノールの一種です。女性ホルモンに似た作用があるとされており、肌の潤いを保つ働きや、骨を丈夫にしてくれます。
枝豆100gあたりのカロリーは125kcalと野菜としては高いのです。しかし脂質を含む肉などのおかず(主菜)と置き換えた場合、ダイエット向きの食材と言えます。
100gあたりの食物繊維が玄米よりも多く含まれ、便秘解消にも効果があるためダイエット中の方におすすめの食材と言えるでしょう。
枝豆のおすすめの調理法・食べ方は、蒸し焼きかレンジを使うことです。毒物であるサポニンやレクチンを含むので、生で枝豆を食べることはおすすめしません。加熱によりサポニンやレクチンは減ります。
枝豆はゆでるのが一般的ですが、ビタミンB群やCが水に多く流れてしまいます。一方蒸し焼きにすると、ビタミンが多く残りやすい調理法です。蒸し焼きにするときは5分くらいを目安にしてください。
おすすめレシピは、フライパンによる枝豆の蒸し焼きです。
焼く、炒める(※9):枝豆を焼くときの油は、オリーブオイルやゴマ油がよく合います。さらに水分が減り、味が凝縮されるためうま味をより感じられるでしょう。しかし熱にさらされる時間が長くなると、栄養素の損失が大きくなります。
おすすめレシピは、ガーリックとペッパーが香る焼き枝豆です。
煮る、ゆでる(※9):枝豆を煮たり、ゆでたりするなら煮汁も一緒に食べると、スープに溶け出た栄養素も摂取できるでしょう。
枝豆は下ゆでを行うことで水溶性ビタミンとされている、ビタミンB群・ビタミンCが溶け出してしまうため、下ゆでではなく、電子レンジで3分程の加熱がおすすめです。
おすすめのレシピは、枝豆のポタージュです。
揚げる(※10):油で揚げた場合、水溶性ビタミン(ビタミンCやビタミンB群)が保たれやすくなります。一方で、脂溶性ビタミンが(ビタミンA・D・E・K)揚げ油へ溶けだしやすく、高カロリーになりやすい調理法です。
枝豆の主要な栄養素はビタミンCやビタミンB群なので、揚げることは多くの栄養素の保持につながるでしょう。
おすすめのレシピは、揚げ枝豆です。
枝豆を含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特に枝豆は水分が全体の約71%を占めるため、劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。
<冷蔵庫保存の場合> 枝豆の乾燥を防ぐため、新聞紙に包んだり、ビニール袋に入れ口を閉じたりして、冷蔵庫へ保存しましょう。
<冷凍保存の場合> 蒸し焼きをしてから冷凍保存するのがおすすめです。食感は損なわれますが、1か月程度であれば冷凍庫にて保存が可能です。食材は冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきます。1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。