柿の栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

柿の栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「柿」。柿の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「柿」とは?基本の3種類とその栄養や食感の違いについて

「柿」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー6にあたる食品です。

「柿」は日本で古くから栽培されてきたカキノキ科の果物で、秋に実が収穫されます。アジアやヨーロッパでも人気があり「kaki」として、海外でも名前が通用しています。主に生柿か干し柿の状態で食べられています。(※1)

柿には以下のような種類があり、含まれる栄養も種類によって異なってきます。一般的な食用として流通している柿には主に下記3種類があります。

食品カテゴリーマップ

甘柿

実が熟す頃には、完全に渋みが無くなっている柿が「甘柿」です。一般に流通する生柿には、甘柿と渋抜き柿がありますが、甘柿の方がより甘みが強い特徴があります。また、ビタミンC含有量も多くなっています。(※2)

渋抜き柿

実が熟しても渋みが残っている渋柿を、渋抜きすることで甘くした柿が「渋抜き柿」です。ほどよい甘みが特徴で、渋柿を生のまま甘く食べることが可能になります。(※2)

 

干し柿

生のままでは食べられない渋柿を、干すことで水分と渋みを抜いた柿が「干し柿」です。水分が抜けるので味はより甘く、食感はしっとりとした状態になります。3種類の中でも栄養価が豊富であるとされるのが干し柿です。

甘柿と渋柿にはどのような違いがあるの?

柿は大きく分けると、甘柿と渋柿に分かれます。

柿の渋みの原因は、どの柿にも含まれる水溶性タンニンです。水溶性タンニンは、口に入ることでタンニンが溶け出すため、渋みを感じるのです。甘柿にもはじめは渋みがありますが、成長過程でタンニンが水溶性から不溶性へ変化し、口の中でタンニンが溶け出さなくなるため、渋みを感じなくなります。

渋柿は実が熟しても水溶性タンニンが残っています。アルコールや炭酸ガス、お湯などを使って渋抜きすることで、タンニンが不溶性に変化して渋柿を甘く食べられるようになります。(※3)

「柿」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「柿」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカル・phytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

甘柿100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー 63kcal

水分 83.1g
たんぱく質 0.4g
脂質 0.2g
炭水化物 15.9g
カリウム 170mg
カルシウム 9mg
葉酸 18μg
ビタミンC 70mg
食物繊維:1.6g
糖質:14.3g

一般的な果物のなかでもカロリーは高いと言えます。
一般的な「柿」の1個の可食部が170g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。

柿に含まれる栄養1:ビタミンC

果物にはビタミンが多く含まれていることが多いですが、柿にはビタミンCが豊富に含まれています。

また、甘柿の方が渋抜き柿よりもビタミンCは多く、干し柿になるとほとんど抜けてしまう特徴があります。ビタミンCは肌の調子を整えるビタミンで、特に女性にとっては、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑制することで知られています。

また、ビタミンCは歯や骨の健康を保ち、血管を丈夫にすることで、動脈硬化を防ぐ効果も期待されます。老化の原因とされている、活性酸素を分解する働きもあるため、積極的に摂取したいビタミンです。

柿に含まれる栄養2:食物繊維

柿を食べることで摂取できる2つ目の栄養素は「食物繊維」です。柿には、水に溶けない不溶性食物繊維が多く含まれ、

・整腸効果
・便秘の改善
・大腸ガンの予防・改善

など、腸内環境を整える効果があるといわれています。

柿に含まれる栄養素3:カリウム

カリウムは体内のナトリウムを体外に出しやすくする働きがあるため、塩分の摂りすぎを防ぐ効果があります。カリウムは火を通すと水に溶け出してしまう特徴があるので、生で食べられる柿は、カリウムの摂取に適した食材です。

・むくみ
・高血圧

などの改善が期待できます。

柿に含まれる栄養素4:β-カロテン

β-カロテンはオレンジ色の野菜や果物に多く含まれる栄養素で、柿にも豊富に含まれています。体内に入ったβ-カロテンはビタミンAに変わります。ビタミンAは皮膚を保護する働きがあるため、

・肌荒れ
・ニキビ

などの改善が期待できます。
また、β-カロテンには強い抗酸化作用も備わっており、老化の原因を抑える働きもあります。β-カロテンの摂取は、美容にも効果的ですね。

柿に含まれる栄養素5:タンニン

タンニンはポリフェノールの一種で、抗酸化作用があります。柿の渋みはタンニンによって感じられますが、甘柿や渋抜き柿にもタンニンは残っています。抗酸化作用は老化の原因を抑える働きがあります。

柿に含まれる栄養素6:葉酸

妊娠中に妊婦さんに積極的な摂取が推奨されている葉酸はビタミンB群に属するビタミンです。細胞の増殖をうながすDNAの合成をサポートするほか、赤血球の生成をサポートする働きがあります。そのため、貧血の方には嬉しい「造血ビタミン」とも呼ばれています。

柿に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

柿の渋みや色素はフィトケミカル(ファイトケミカル)で、強い抗酸化作用があります。柿に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで

・β-カロテン
・タンニン(ポリフェノール)

です。

β-カロテンはオレンジ色または黄色の色素で、視力や皮膚の健康を維持する働きがあり、美容にも効果的です。

タンニン(ポリフェノール)は柿の渋み成分で、血圧の上昇や、血中コレステロールを下げる働きがあるため、生活習慣病の予防にもなります。(※4)

「柿」はダイエット向きの食材?

甘柿100g当たりのカロリーは63kcalと高めのため、ダイエットに不向きな食材と言えます。

しかし、食物繊維が多く含まれていることで便秘解消にも効果があり、カリウムには体の不要な水分を排出してくれる働きがあります。そのため、ダイエット中の方にも上手に取り入れて欲しい食材といえます。

果物であるカテゴリー6の食品は果糖を豊富に含み甘くておいしいですが、食べ過ぎると血糖値や脂肪肝に注意が必要です。肥満や糖尿病など生活習慣病がある場合は、医療機関から指示された食事療法に従い、良い成分が多いからと言って食べ過ぎないようにしましょう。

「柿」の栄養価を失わないおすすめの食べ方

柿の栄養を逃さない!おすすめの食べ方

・生のまま皮付きで食べる
・加熱してジャムや焼き柿で食べる

栄養豊富な柿ですが、特に皮に食物繊維やポリフェノールが豊富に含まれています。皮を剥いて果実だけを食べている方が多いと思いますが、より多くの栄養を摂取したいのであれば、皮も一緒に食べてみてください。柿の皮は少し硬めですが、薄くスライスすることで食べやすくなるのでおすすめです。(※5)

また、柿を加熱するとアミノ酸が増加し、栄養価が高くなることがわかってきています。柿のアミノ酸を効果的に摂取したい方は、柿を加熱してジャムにしたり、トースターでそのまま焼いた「焼き柿」にしてみてください。しかし、柿は加熱することでビタミンCなどの栄養素が減ってしまう特徴があります。目的に合わせて、食べ方も工夫して下さいね。

柿の栄養価を失わないおすすめの食べ方

「柿」栄養価を失わない正しい保存方法

柿を含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。柿は実を収穫してからも追熟する特徴がありますので、柿の状態によって保存方法を変える必要があります。

<常温保存の場合> 完熟していない硬い柿は、常温に置いて追熟させましょう。数日で柔らかく、食べ頃になってきます。(※1)

<冷蔵庫保存の場合> 完熟した柿を長持ちさせたい場合、ヘタの部分を湿らせて冷蔵保存することをおすすめします。ペーパーを濡らしてヘタを覆い、ビニール袋に入れるかラップに包み、乾きを予防しましょう。また、保存の際はヘタを下にすることでより乾燥しにくくなります。

<冷凍保存の場合> 熟しすぎて生で食べるには適さない状態になったら、そのまま冷凍保存しましょう。食べる際に半解凍の状態にするとシャーベットのようになり、美味しく食べられます。

岩崎真宏

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。

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