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パイナップルの栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「パイナップル」。パイナップルの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「パイナップル」とは?3種類の産地と価格や風味の違い

「パイナップル」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー6にあたる食品です。

「パイナップル」は南アメリカが原産で、現在はフィリピンやタイなどで多く栽培されています。パイナップルはパイナップル科の多年草の実からなる果実で、葉は観葉植物としても利用されます。1つに見えるパイナップルの果実はおよそ100〜200の花の集合体で「集合果」と呼ばれます。

日本で一般的な食用として流通しているパイナップルは、主に下記3種類の産地が中心です。
産地によって、価格や風味に違いがあります。

フィリピン産

日本で販売されているパイナップルの9割以上がフィリピン産のパイナップルです。甘みが強く、比較的安価で購入できる特徴があります。(※1)

台湾産

日本で人気の高い台湾産のパイナップルは、甘みと酸味のバランスがよく、芯まで食べられる特徴があります。フィリピン産と比較すると、高価で販売されています。

国産(沖縄)

国産のパイナップルは数が少ないのですが、沖縄産のパイナップルに関しては毎年出荷されています。日本では9割以上を輸入パイナップルが占めていることもあり、国産のパイナップルは貴重です。甘みが強く、香りがよい特徴があります。フィリピン産と比較すると、高価で販売されています。

「パイナップル」の食べ頃の目安とは?

パイナップルは皮が固く、常温で保存しても問題ないイメージがありますね。実はパイナップルは追熟しない特徴があり、購入したタイミングが一番の食べ頃です。2〜3日おくことで柔らかくなることはありますが、甘さが増えることはないため注意が必要です。パイナップルは購入する時点で熟しているものを選ぶ必要があり、目安としては皮が黄色みを帯びてきたものや、甘い香りがするものが食べ頃のサインです。(※2)

「パイナップル」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「パイナップル」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

パイナップル100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー 54kcal

水分 85.2g
たんぱく質 0.6g
脂質 0.1g
炭水化物 13.7g
カリウム 150mg
カルシウム 11mg
葉酸 12μg
ビタミンC 35mg
食物繊維:1.2g
糖質:12.5g

一般的な果物のなかでもカロリーは標準と言えます。

一般的な「パイナップル」の1個が可食部1.1kg程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。

パイナップルに含まれる栄養1:ビタミンB1

パイナップルにはビタミンB1が豊富に含まれています。ビタミンB1は糖質の代謝を助ける働きがあり、糖をエネルギーに変換してくれます。新陳代謝を促し、疲労回復効果があると言われています。(※3)

パイナップルに含まれる栄養2:ビタミンC

果物にはビタミンが多く含まれていることが多いですが、パイナップルにもビタミンCが豊富に含まれています。ビタミンCは肌の調子を整えるビタミンで、特に女性にとっては、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑制することで知られています。また、ビタミンCは歯や骨の健康を保ち、血管を丈夫にすることで、動脈硬化を防ぐ効果も期待されます。老化の原因とされている、活性酸素を分解する働きもあるため、積極的に摂取をしたいビタミンです。

パイナップルに含まれる栄養素3:食物繊維

パイナップルには食物繊維が豊富に含まれています。パイナップルには水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ

・整腸効果
・便秘の改善
・大腸ガンの予防・改善

などに効果的と言われています。
また、特に不溶性食物繊維が多く含まれていることから、便秘の改善は一際効果が期待できます。(※4)

パイナップルに含まれる栄養素4:ブロメライン(タンパク質分解酵素)

(※5)ブロメラインは、パイナップルの茎と果実に含まれるタンパク質分解酵素です。肉などのタンパク質の分解を助けてくれる働きがあり、食べ物が消化されやすくなります。酢豚の中に入っていたり、ステーキの上に乗っていたりするパイナップルは味だけでなく、この役割のために使われているといえます。

パイナップルに含まれる栄養素5:カリウム

カリウムは体内のナトリウムを体外に出しやすくする働きがあるため、塩分の摂りすぎを防ぐ効果があります。カリウムは火を通すと水に溶け出してしまう特徴があるので、生で食べられるパイナップルは、カリウムの摂取に適した食材です。

・むくみ
・高血圧

などの改善が期待できます。

パイナップルに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

フィトケミカル(ファイトケミカル)は、パイナップルに豊富に含まれています。パイナップルに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は

・β-カロテン
・ルテイン

です。

β-カロテンはオレンジ色または黄色の色素で、視力や皮膚の健康を維持する働きがあり、美容にも効果的です。

ルテインは黄色の色素で、目の健康を維持する働きがあります。(※6)

「パイナップル」はダイエット向きの食材?

パイナップル100g当たりのカロリーは54kcalと高めのため、ダイエットには不向きな食材と言えます。

しかし、食物繊維が多く含まれていることで便秘解消にも効果があり、カリウムには体の不要な水分を排出してくれる働きがあります。ダイエット中の方は上手に取り入れて欲しい食材と言えます。

「パイナップル」の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

パイナップルの栄養を逃さない!おすすめの調理方法

・生      ★★★
・炒める    ★★☆

パイナップルに豊富に含まれるビタミンCや食物繊維、ブロメライン、カリウム、そしてフィトケミカル(ファイトケミカル)は加熱することで流出につながります。可能であれば生のまま食べることをおすすめしますが、パイナップルは肉との相性がとても良い特徴がありますので、温かい肉料理と合わせて食べたいときには、一緒に加熱するのではなく、出来上がり直前に和えるなどの方法をお試しください。

「パイナップル」栄養価を失わない正しい保存方法

パイナップルを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。パイナップルは追熟しない特徴がありますので、購入したら常温には置かずに冷蔵、冷凍保存しましょう。入手したときが食べ頃のため、早めに食べ切るようにしましょう。

<冷蔵庫保存の場合> カットしていないパイナップルの場合、乾燥しないように新聞紙で全体をくるみ、野菜室で保存しましょう。また、カットしたパイナップルの場合はなるべく空気に触れないようラップで包み、保存袋に入れて野菜室で保存してください。購入してから2〜3日で食べきることを目安にしましょう。(※7)

<冷凍保存の場合> 一口サイズにカットし、保存袋に入れて冷凍保存しましょう。保存期間は最長でも1か月です。
食材は冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきますので、1か月という目安にとらわれず、早めに召し上がることをおすすめします。

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。