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納豆の栄養素(カロリー/ビタミン/ ミネラル / 効果効能) 栄養素大全集

スーパーや最近ではコンビニでも販売されている「納豆」。納豆の栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。

「納豆」とは?基本の3種類とその栄養や食感の違い

「納豆」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー2Aにあたる食品です。

(※1)「納豆」は大豆の加工食品で、煮る、蒸すなどして柔らかくなった大豆を納豆菌で発酵させた発酵食品です。大豆そのものよりも栄養価が高い特徴があります。納豆の歴史は古く、現在のような粒納豆が主流になったのは江戸時代からといわれています。

納豆には以下のような種類があり、含まれる栄養も種類によって異なってきます。一般的な食用として流通しているもやしには主に下記3種類があります。

糸引き納豆

スーパーなどで購入可能な納豆の品種で、普段ご飯と一緒に食べている納豆です。丸大豆納豆とひきわり納豆の2種類に分かれます。加熱することで壊れやすい栄養素も含まれるため、基本的にはそのまま食べることをおすすめします。

甘納豆

甘納豆は豆菓子の一種で、豆を砂糖で煮詰めたものです。赤飯と合わせて食べている地域もあります。

寺納豆

塩辛納豆とも呼ばれ、中国から伝わった塩辛い納豆です。糸引き納豆のようなネバネバはなく、味噌やたまり醤油、濃い口醤油のルーツともいわれています。日常的に馴染みの薄い納豆ですが、お酒のおつまみや、お茶漬けなどで楽しまれています。

「納豆」がネバネバするのはなぜ?

(※2)納豆は私達の生活に根付いている食品のひとつのため、ネバネバしていることは当たり前のように感じますよね。しかし、ネバネバしている納豆は糸引き納豆のみで、甘納豆や寺納豆はネバネバしていません。なぜ、馴染み深い糸引き納豆はネバネバしているのでしょうか?納豆のネバネバは、大豆に含まれるタンパク質(たんぱく質)を納豆菌が分解することで作られます。納豆の原料である大豆だけでは、糸引き納豆特有のネバネバは生まれないのです。

このネバネバ部分にナットウキナーゼというタンパク質分解酵素が含まれ、体の血栓を溶かす働きなどの健康効果が期待できます。

「納豆」に含まれる栄養素 ビタミン・ミネラル・フィトケミカル(ファイトケミカル)

それでは「納豆」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。

糸引き納豆100g当たりのカロリー・熱量などの栄養成分表

エネルギー 190kcal
水分 59.5g
たんぱく質 16.5g
脂質 10.0g
炭水化物 12.1g
カリウム 660mg
カルシウム 90mg
葉酸 120μg
食物繊維:6.7g
糖質:5.4g

一般的な野菜のなかでもカロリーは高いといえます。

一般的な「納豆」の1パックが40g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。

納豆に含まれる栄養1:タンパク質(たんぱく質)

(※3)豆類が栄養を多く含むことは皆さんご存知かと思います。納豆は良質なタンパク質(たんぱく質)を豊富に含みます。タンパク質(たんぱく質)は筋肉や臓器をつくる栄養素で、体のエネルギー源となる三大栄養素のひとつです。肉や魚の動物性タンパク質(たんぱく質)と比較して、低カロリーであるという特徴があります。

納豆に含まれる栄養2:ビタミンB群

納豆には、ビタミンB群が豊富に含まれています。特に多く含まれているビタミンB2は、以下のような働きがあります。

・脂肪を分解・燃焼
・疲労回復
・肝機能向上

などに効果的といわれています。

納豆に含まれる栄養素3:食物繊維

納豆には食物繊維が豊富に含まれています。納豆には水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ、

・整腸効果
・便秘の改善
・大腸ガンの予防・改善

などに効果的といわれています。

納豆に含まれる栄養素4:カリウム

納豆はカリウムが豊富に含まれています。カリウムは体内のナトリウムを体外に出しやすくする働きがあるため、塩分の摂りすぎを防ぐ効果があります。カリウムは火を通すと水に溶け出してしまう特徴があるので、カリウムを積極的に摂りたい場合は、加熱せずにそのまま食べましょう。

カリウムは、

・むくみの改善
・高血圧の改善

などに効果的といわれています。

納豆に含まれる栄養素5:鉄分

(※4)納豆には鉄分が豊富に含まれています日常的に食品から鉄分を摂ることで、鉄欠乏性貧血の予防になります。特に女性は男性よりも積極的な鉄分摂取が推奨されていますので、上手に納豆を食事に取り入れるとよいでしょう。

納豆に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)

人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。

フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由の1つは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく

・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類

の5種類に分類されます。

(※5)フィトケミカル(ファイトケミカル)は、納豆に多く含まれています。
納豆に含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく3つで

・大豆イソフラボン
・大豆サポニン
・ナットウキナーゼ

です。

大豆イソフラボンは大豆胚芽に含まれるポリフェノールの一種で、女性ホルモンに似た作用があるとされており、肌の潤いを保つ働きや、骨を丈夫にする働きがあります。

大豆サポニンは、大豆の苦味や渋みで、肥満を予防する効果があります。動脈硬化、心筋梗塞などの予防にも役立ちます。

ナットウキナーゼは、納豆のネバネバに含まれるタンパク質分解酵素です。血栓を溶かす働きがあり、血栓症の予防に効果的です。(※6)

「納豆」はダイエット向きの食材?

(※7)納豆100g当たりのカロリーは190kcalで高めですが、ダイエットに効果的な栄養素を豊富に含んでいるため、ダイエット向きの食材といえます。

納豆には筋肉をつくる良質なタンパク質(たんぱく質)や便秘解消にも効果がある食物繊維、体内の脂肪を燃焼させる効果があるビタミンB2などの栄養が含まれるため、ダイエット中の方は摂取量に注意しながら上手に取り入れることをおすすめします。

「納豆」の栄養価を失わない調理方法・おすすめの食べ方

納豆の栄養を逃さない!おすすめの調理方法

・そのまま         ★★★
・炒めた料理と和える    ★★☆

(※8)加熱調理はフィトケミカル(ファイトケミカル)の流出につながるため、加熱せずにそのまま食べることがおすすめです。
また、納豆そのものを長時間加熱しないよう、炒めた料理の最後にさっと和えることで、幅広い納豆料理を楽しむことが可能になるでしょう。

「納豆」栄養価を失わない正しい保存方法

(※9)スーパーなどで販売されている納豆には賞味期限の記載があるので、基本的には賞味期限を守って食べきりましょう。期限を過ぎると風味が落ちたり、臭いが強くなることがあるため、食べることはおすすめしません。

<冷蔵庫保存の場合> 納豆は購入後、冷蔵庫で保存し、賞味期限内に食べきりましょう。長時間常温に置いてしまうと納豆の再発酵が起き、アンモニア臭が発生することがあります。

<冷凍保存の場合> 納豆は冷凍保存が可能です。納豆に含まれる納豆菌は低温で壊れることはありません。購入後、新鮮なうちに冷凍することで、1か月程度の保存が可能です。解凍する場合は、冷蔵庫に移して自然解凍しましょう。

食材は冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきますので、こちらも1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。

一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会

岩崎真宏

医学博士、管理栄養士、臨床検査技師。病院で管理栄養士として働き、食事を変えると治療薬の効果が上がることなど実証。その後、医学的根拠のある栄養学を多くのひとが実践できるようにするため、北京五輪メダリストの朝原宣治をはじめ、医師、医療従事者、医学研究者らとともに一般社団法人日本栄養コンシェルジュ協会を設立し代表理事に就任。栄養学からみた野菜の健康価値と野菜不足の社会課題のギャップ、廃棄野菜などの農業課題を解決するため、ヘルスケアと農業の循環型事業に取り組むベジタブルテック株式会社を創業。横浜DeNAベイスターズ 栄養アドバイザーとしてチームサポート。一般社団法人 煎茶道黄檗売茶流 教授 茶名「影仙」拝命。近著『野菜は最強のインベストメントである』(フローラル出版)。