- 実がなる野菜(果菜類)
スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「オクラ」。オクラの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
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「オクラ」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー3にあたる食品です。
「オクラ」はアフリカ原産の野菜で、意外にもハイビスカスと同じアオイ科に属し、美しい花は観賞用としても人気があります。ネバネバした食材の代表的な食材のひとつで、栄養価に富んだ健康野菜としても有名な緑黄色野菜です。日本では主に九州から四国地方など暖かい地域で作られ、寒い時期にはフィリピンやタイなどからの輸入ものが多くなります。(※1,2)
オクラには以下のような種類があり、最近ではさまざまな品種が流通しています。普段目にする一般的なオクラに加え、下記のような色や形が異なるものも旬の夏ごろになるとスーパーでも見かけるようになりました。(※3)
日本で最も出回っているオクラの品種で、切った時の断面が五角形になっているところが特徴です。夏が旬のため国産が多く、秋ごろから冬にかけては東南アジアからの輸入品やハウス栽培された国内のものが増えます。生でも食べられますが、さっと塩ゆですると緑色も鮮やかに映え、食べやすい硬さになるのでおすすめです。また表面には細かいうぶ毛が多いため、お浸しなどにする場合はまな板の上でオクラに塩をまぶして転がし、うぶ毛を取っておきましょう。(※3)
沖縄県の「島オクラ」や東京八丈島の「八丈オクラ」など古くから栽培されている品種です。切った断面が円形になることから丸オクラと呼ばれ、品種改良がすすみさまざまな種類のものがあります。(※3)
名前の通り白っぽい淡緑色をしたオクラで、主に山口県を中心に栽培されている伝統野菜です。丸オクラと同じく丸い形状のものが多く、うぶ毛が少なく柔らかいため生食に向いています。そのため「サラダオクラ」と呼ばれることもあり、緑色のものよりもアクが少ないのが特徴です。(※3)
オクラは健康に良さそうというイメージはあるものの、実際はどうなのか気になる方も多いでしょう。独特な粘り気が持ち味のオクラは、栄養素が豊富な緑黄色野菜のひとつとしても有名です。
そのネバネバ成分も実は食物繊維の一種で、さまざまな働きをもっています。オクラはタンパク質(たんぱく質)・ビタミン・ミネラル・食物繊維など、たくさんの栄養素を含んだ優秀な食材です。
それでは「オクラ」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 15kcal
水分 90.2g
たんぱく質 2.1g
脂質 0.2g
炭水化物 6.6g
カリウム 260mg
カルシウム 92mg
葉酸 110μg
ビタミンC 11mg
食物繊維:5g
糖質:1.6g
(※4)
一般的な野菜のなかでもカロリーは低いといえます。
一般的な「オクラ」の1袋(10本)が100g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。(※5)
オクラは野菜の中ではタンパク質(たんぱく質)が豊富な食材です。茹でるとタンパク質(たんぱく質)が減ってしまうブロッコリーなどとは違い、オクラは茹でても含有量が変わらないという特徴があります。(※4)
オクラを食べることで摂取できる2つ目の栄養素は「食物繊維」です。オクラには、ネバネバした成分の水溶性食物繊維であるペクチンと、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ、
・肥満予防
・便秘の改善
・生活習慣病の予防
・大腸がんのリスク低下
・コレステロール上昇の抑制
などさまざまな効果があるといわれています。(※4,6,7)
血液の凝固や丈夫な骨づくりに不可欠なビタミンKもオクラに多い栄養素です。日本人の食事摂取基準における成人のビタミンK摂取量は150㎍ですが、オクラ100gで1日分の約半分71㎍が摂れます。(※4,8,9)
コラーゲンの生成に必須のビタミンCもオクラに含まれています。ビタミンCはその強力な抗酸化作用からがんや動脈硬化の予防や、老化防止の効果があると期待されている水溶性のビタミンです。また風邪などの感染症に対する免疫を助ける働きがあるといわれています。(※4,10,11)
特に妊娠中の方に必要な栄養素として有名な葉酸ですが、さまざまな働きをもつ重要なビタミンB群の一種です。DNAの合成や赤血球の生成など人体の成長に関わっているため、女性に限らず大切な栄養成分です。通常、オクラをはじめとするさまざまな食材に含まれているので不足することは少ないといわれています。(※4,12,13)
オクラは血圧の調整に必要なカリウムも摂ることができます。塩分摂取量が多い日本人には重要なミネラルです。健康な方の場合カリウムには
・高血圧予防と改善
・脳卒中予防
・骨粗鬆症予防
などの効果があるといわれています。(※4,14)
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
オクラに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は
・β‐カロテン
です。β-カロテンはカロテノイドの一種で、体内でビタミンAに変換されるフィトケミカルです。カロテノイドにもさまざまありますが、特にβ-カロテンはビタミンAに効率的に変わりやすく、それ自体にも抗酸化作用を持っています。(※15)
オクラ(生)100g当たりのカロリーは15kcalと非常に低く、ダイエット向きの食材といえます。
食物繊維も多く効率的に摂取でき、便秘解消にも効果があるためダイエット中の方におすすめの食材といえます。(※4)
オクラの栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・生食 ★★★
・煮る ☆☆☆☆
・炒める ★★★
・茹でる ★★★
加熱のし過ぎはフィトケミカル(ファイトケミカル)の流出につながるため、さっと茹でたり炒めたりする程度がいいでしょう。ただし、オクラの場合はビタミンC以外の栄養成分は茹でたときの方が増える性質があります。効率的に摂るなら軽い加熱調理をしてお浸しやポン酢和えなどにして食べるのがおすすめです。(※4)
オクラを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にオクラは冷蔵庫で4〜5日で劣化しやすく、適切な保存方法が求められる食材です。(※16)
<冷蔵庫保存の場合> オクラは乾燥や冷たい場所が苦手なので、キッチンペーパーに包みジップ付きの保存袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に保存しましょう。洗ってから保存する場合はしっかりと水気を切ると長持ちします。(※16,17)
<冷凍保存の場合> ヘタの先端部分を落とし、ラップでくるんでからジップ付きの保存袋に入れて冷凍保管すれば1か月ほどもちます。うぶ毛が気になる方は塩でもんでから洗っておくと、さっと調理ができるのでおすすめです。(※16,17)
食材は冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきますので、こちらも1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。