- 果物・果実的野菜
スーパーや最近ではコンビニでも販売されている「いちじく」。いちじくの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
Contents
「いちじく」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー6にあたる食品です。(※1)
「いちじく」はクワ科イチジク属の果物で愛知県を中心に栽培されています。国内で出荷される経済的な北限は、福島、宮城、新潟までのため、北日本では手に入りにくい果物です。
いちじくは追熟しない特徴があります。店頭で販売されるいちじくの多くは、輸送と日持ちの都合で完熟間際に収穫されます。完熟した状態ではないため、あっさりとした甘みのいちじくが多い傾向にあります。(※2)
いちじくは収穫時期の違いで、越冬した幼果が夏に熟す「夏果」と、新梢について秋に熟す「秋果」に分かれ、大きさや味わいに違いがあります。一般的には夏果の方が、長期間栄養を蓄えたことから実が大きく、味わいが良いといわれています。
国内で流通しているいちじくには主に下記4種類があります。
国内生産の約8割を占めるのが、桝井ドーフィンといわれています。皮は濃い赤紫色で、形はしずく型です。収穫量が多く、果皮がしっかりしていて輸送に優れているという特徴から国内生産量が一気に増えた品種です。夏と秋のどちらも実をつけます。
「日本いちじく」と呼ばれる品種で、皮は白っぽく、丸い形をしています。先が裂けやすいため、地元で消費されることが多い品種です。甘みが強く、生産量が少ないことから希少性が見直されています。夏と秋のどちらも実をつけます。
福岡県が開発したオリジナル品種です。皮は赤紫色で、形は卵型です。甘みが強く、皮ごと食べられる特徴があります。夏と秋のどちらも実をつけます。
フランスで有名な品種で、日本では限られた生産者しか栽培していないことから「幻の黒いちじく」と呼ばれています。皮は黒紫色で、扁平な形をしています。甘みが強く、一般的ないちじくより小ぶりです。9月から10月に収穫される秋果です。
(※1)(※3)(※4)いちじくは「無花果」と表記されることから、花が咲かない果物なの?と疑問に感じますよね。いちじくは実の内側に花をつける特徴があります。つまり、外側からは見えないため「無花果」と漢字表記されるのです。
いちじくの実は中に空洞があり、その内側に無数の小さな白い花が並んでいます。いちじくの果実を食べたときのプチプチした食感は、花の部分によるものであるといわれています。
それでは「いちじく」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 57kcal
水分 84.6g
たんぱく質 0.6g
脂質 0.1g
炭水化物 14.3g
カリウム 170mg
カルシウム 26mg
葉酸 22μg
ビタミンC 2mg
食物繊維:1.9g
糖質:12.4g
一般的な果物のなかでもカロリーは低いといえます。
一般的な「いちじく」の1個の可食部が60g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。
(※1)いちじくには食物繊維が豊富に含まれています。いちじくには水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ、
・整腸効果
・便秘の改善
・大腸ガンの予防・改善
などに効果的と言われています。
特に「ペクチン」という水溶性食物繊維が豊富に含まれていることから、コレステロールの低下や、血糖値の上昇を抑えるなどの効果も期待できます。
カリウムは体内のナトリウムを体外に出しやすくする働きがあるため、塩分の摂りすぎを防ぐ効果があります。カリウムは火を通すと水に溶け出してしまう特徴があるので、生で食べられるいちじくは、カリウムの摂取に適した食材です。
・むくみ
・高血圧
などの改善が期待できます。
(※5)フィシンは、いちじくの白い乳液に含まれるタンパク質分解酵素です。フィシンは肉などのタンパク質を分解し、食べ物の消化を助けてくれます。そのため、いちじくは肉料理を食べたあとのデザートに最適です。また、いちじくは生のまま食べたほうが丸ごと栄養を摂れるため、肉巻きなど、できるだけ火を通さない調理方法でいただくことをおすすめします。
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
フィトケミカル(ファイトケミカル)は、いちじくに多く含まれています。いちじくに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで
・ルチン
・アントシアニン
です。
ルチンは血流を促す働きがあり、動脈硬化や心臓病の予防になります。
アントシアニンにも血流を促す働きがあり、血流が良くなることでむくみや肩こりにも効果的です。また、疲れ目の予防や視力回復の効果も期待できます。
いちじく100g当たりのカロリーは57kcalと果物の中では低く、ダイエット向きの食材といえます。
食物繊維が多く含まれていることで便秘解消にも効果があり、カリウムには体の不要な水分を排出してくれる働きがあります。また、いちじくにはタンパク質分解酵素のフィシンが含まれており、食後のデザートにぴったりの果物です。ダイエット中でもデザートがほしい場合は、低カロリーないちじくを上手に取り入れることをおすすめします。
しかし、果物は果糖が多い特徴があるため、ダイエット中の方は油断して食べすぎないよう注意してくださいね。
いちじくの栄養を逃さない!おすすめの調理方法
・生のまま ★★★
・煮る ★★☆
いちじくに豊富に含まれる食物繊維、カリウム、フィシン、そしてフィトケミカル(ファイトケミカル)は加熱することで流出につながります。可能であれば生のまま食べることをおすすめしますが、いちじくには肉との相性がとても良いという特徴があります。温かい肉料理と合わせて食べたいときには、なるべく加熱しないよう、出来上がり直前に和えるなどの方法をお試しください。
また、加熱調理で溶け出したいちじくの栄養素は、煮汁ごと食べることで摂取することが可能です。肉料理のソースやジャムに加工して食べる方法もおすすめです。
いちじくを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。特にいちじくは劣化しやすいため、適切な保存方法が求められる食材です。
<冷蔵保存の場合> 1個ずつペーパータオルで包み、ポリ袋に入れて冷蔵庫で保存します。2〜3日の保存が可能です。(※6)
<冷凍保存の場合> 食感は損なわれますが、食べきれない場合は冷凍保存しましょう。1個ずつラップで包み、保存袋に入れて冷凍庫で保存します。1か月程度の保存が可能です。
半解凍だとシャーベットのように、完全に解凍するとコンポートのような柔らかい食感で食べられます。
食材は冷凍保存を行うことで栄養素は減少していきますので、こちらも1か月という目安にとらわれず早めに召し上がることをおすすめします。