スーパーや最近ではコンビニでもカット野菜として販売されている「りんご」。りんごの栄養素やカロリー・ビタミン・ミネラル。摂取することでの体への効果効能。またダイエットに向いているかなど食材の基本情報をまとめた栄養大全集です。
Contents
「りんご」は栄養コンサルティングガイド®(NCG®)の食品カテゴリーマップにおいて、カテゴリー6にあたる食品です。
(※1)「りんご」はバラ科リンゴ属の果実で、人類が最初に食した果物です。栄養価が高いことから「1日1個のりんごは医者を遠ざける」ともいわれています。生で食べられることが多いのですが、ジュースや焼き菓子、お酒などに加工され、幅広く用いられています。低カロリーで食物繊維が豊富なため、果物の中ではカロリーを気にせずに食べやすいでしょう。
りんごには収穫時期の違いで以下のような種類があり、大きさや皮の色、硬さや風味が種類によって異なってきます。一般的な食用として流通しているりんごは、大きく下記3種類があります。
(※2)8月から9月頃に収穫されるりんごで、「つがる」と「きおう」が早生種になります。
・つがる…約300gの中玉で、皮は紅色。果肉は硬めで甘みが強く、酸味をほとんど感じない
・きおう…約300gの中玉で、皮は黄色く光沢がある。果肉は硬めで、甘みと酸味のバランスが良い
9月から10月頃に収穫されるりんごで「早生ふじ」「トキ」「紅玉」「世界一」「ジョナゴールド」「陸奥」が中生種になります。
・早生ふじ…約350gの中玉で、皮は紅色。外見や風味が晩生種の「ふじ」と似ている
・トキ…約350gの中玉で、皮は黄色。果汁が多く、甘さと酸味のバランスが良い
・紅玉…約240g1の小玉で、皮は濃い紅色。果肉はち密で甘酸っぱい
・世界一…約500gの大玉で、皮は鈍紅色。果肉はやや硬めで、酸味が少なく甘みがある
・ジョナゴールド…約350gの中玉で、皮は黄色地に紅色。甘さと酸味のバランスが良い
・陸奥…約430gの大玉で、皮は日に当てると紅色に、日に当てないと黄色になる。果肉は硬めで香りが良い
10月から11月頃に収穫されるりんごで「ふじ」「王林」「シナノゴールド」「金星」が晩生種になります。
・ふじ…約350gの中玉で、皮は紅色。果肉はシャキシャキした食感。甘さと酸味のバランスが良い
・王林…約300gの中玉で、皮は黄緑色。果汁が多く酸味がほとんどなく、甘みと香りが特徴的
・シナノゴールド…約360gの中玉で、皮は黄色。高い糖度と酸味もあり、果汁が多く香りがある
・金星…約350gの中玉で、皮は日に当てると黄緑に、日に当てないと黄色になる。果肉は硬く、味は濃厚で甘みが強い
(※3)(※4)りんごは皮に栄養が豊富で、皮ごと食べたほうが良いと聞いたことはありませんか?
りんごには食物繊維やビタミンC、ポリフェノールが豊富に含まれており、皮と皮の近くには、果肉部分より多くの栄養が含まれています。りんごにはさまざまなポリフェノールが含まれますが、特にプロシアニジンというポリフェノールが豊富です。プロシアニジンは皮部分に多く含まれており、強い抗酸化作用によって体の酸化を防ぎ、美白効果も期待できます。りんごはよく洗い、皮ごと食べることをおすすめします。
それでは「りんご」に含まれる栄養素や、今注目を集めているフィトケミカル(ファイトケミカルphytochemical)の有無。また、摂取することで期待される効果と効能。100gあたりのカロリー(熱量)など栄養成分表を順に見ていきましょう。
エネルギー 56kcal
水分 83.1g
たんぱく質 0.2g
脂質 0.3g
炭水化物 16.2g
カリウム 120mg
カルシウム 4mg
葉酸 3μg
ビタミンC 6mg
食物繊維:1.9g
糖質:14.3g
一般的な果物のなかでもカロリーは低いといえます。
一般的な「りんご」の中玉1個の可食部が270g程度ですので数値算出の際のご参考になさってください。
(※1,4)りんごには食物繊維が豊富に含まれています。りんごには水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維がともに含まれ、
・整腸効果
・便秘の改善
・大腸ガンの予防・改善
・血糖値の上昇を抑える
などに効果的と言われています。
特に皮に不溶性食物繊維が多く含まれていることから、皮ごと食べることで便秘の改善に一際効果が期待できます。
また、りんごの食物繊維であるペクチンという成分は加熱調理をすることで増える特徴があります。食物繊維を効果的に摂取したい場合は、りんごを加熱調理することをおすすめします。
カリウムは体内のナトリウムを体外に出しやすくする働きがあるため、塩分の摂りすぎを防ぐ効果があります。カリウムは火を通すと水に溶け出してしまう特徴があるので、生で食べられるりんごは、カリウムの摂取に適した食材です。
・むくみ
・高血圧
などの改善が期待できます。
果物にはビタミンが多く含まれていることが多いですが、りんごにもビタミンCが豊富に含まれています。 ビタミンCは肌の調子を整えるビタミンで、特に女性にとっては、シミやくすみの原因となるメラニンの生成を抑制することで知られています。また、ビタミンCは歯や骨の健康を保ち、血管を丈夫にすることで、動脈硬化を防ぐ効果も期待できます。老化の原因とされている、活性酸素を分解する働きもあるため、積極的に摂取をしたいビタミンです。ビタミンCは火を通すと壊れやすい特徴があるので、生で食べられるりんごは、ビタミンCの摂取に適した食材です。
(※6)りんごには豊富なポリフェノールが含まれており、りんごポリフェノールと呼ばれます。りんごポリフェノールはプロシアニジンが主成分で、
・中性脂肪の上昇抑制
・コレステロールを下げる
・生活習慣病予防
・疲労回復
などに効果的です。
また、りんごポリフェノールの一部は特に皮に多く含まれていますが、りんごポリフェノールの主成分であるプロシアニジンは果肉にも豊富に含まれています。
(※5)りんごにはリンゴ酸が豊富に含まれています。リンゴ酸は乳酸を分解する働きがあり、疲労回復効果が期待できます。また、鉄の吸収を高める働きがあり、貧血予防にもなります。
人間が体内で生成することができず、植物を食べることでのみ摂取できる「フィトケミカル(ファイトケミカル)」は植物由来の化学物質。もともとは植物が生きていくため、害虫や強い紫外線などから植物自身の身を守るために生成された成分です。このフィトケミカル(ファイトケミカル)は摂取することで、抗酸化作用や免疫力向上など、人体にもさまざまなメリットがあるとされ、近年注目を集めている成分です。
フィトケミカル(ファイトケミカル)が注目されている理由のひとつは「抗酸化作用」です。抗酸化作用のある食品を摂取することで体の酸化を防ぎ、老化や病気のリスクを低下させることが期待されています。フィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく
・ポリフェノール
・含硫化合物
・カロテノイド
・テルペン類
・多糖類
の5種類に分類されます。
(※4)フィトケミカル(ファイトケミカル)は、りんごに多く含まれています。りんごに含まれるフィトケミカル(ファイトケミカル)は大きく2つで
・ポリフェノール
・β-カロテン
です。
りんごに含まれるポリフェノールの主成分はプロシアニジンで、他のポリフェノールより特に強い抗酸化作用があります。腸の環境を整えたり、肌の調子を整えてくれる働きがあります。
β-カロテンはオレンジ色または黄色の色素で、視力や皮膚の健康を維持する働きがあり、美容にも効果的です。
りんご(皮付き)は100g当たり56kcalで、果物の中ではカロリーが低く、ダイエット向きの食材といえます。
食物繊維が多く含まれ、便秘解消にも効果があります。またポリフェノールが豊富に含まれており、抗酸化作用が期待できることから、美容を意識しながらダイエットしたい方におすすめの食材といえます。
りんごの栄養を逃さない!おすすめの食べ方
・生のまま ★★★
・焼く ★★☆
・煮る ★★☆
りんごに豊富に含まれるカリウムやビタミンC、フィトケミカルは加熱することで流出につながります。可能であれば生のまま食べることをおすすめしますが、りんごの食物繊維であるペクチンは加熱することで増える特徴があります。食物繊維を積極的に摂取したい場合や、長期保存したい場合などは焼きりんごや煮りんご、ジャムに加工する食べ方もおすすめです。
りんごを含む野菜や果物は、賞味期限の記載がないため、いつまでに食べれば良いか迷われる方も多いことでしょう。りんごはカットすることで特に劣化しやすくなる特徴があるため、適切な保存方法が求められる食材です。
(※7)丸ごと保存の場合:りんごを洗わずにペーパータオルや新聞紙で1個ずつ包むことで、乾燥を防ぐことができます。ポリ袋に入れてしっかり口を閉じ、冷蔵庫で2か月程度の保存が可能です。
<カット保存の場合> カットしたりんごはその瞬間から酸化が始まります。色の変化を防ぐために、切り口に食塩水かレモン汁を振りかけ、ラップでぴったりと包みます。冷蔵庫で2日程度の保存が可能ですが、なるべく早く食べきることをおすすめします。
<ダンボール保存の場合> ダンボールに入った大量のりんごは、温度の低い場所で常温保存しましょう。1か月程度の保存が可能です。
<冷凍保存の場合> 食感は損なわれますが、冷凍保存したい場合はカットしてラップで包み、保存袋などに入れて冷凍しましょう。1か月程度の保存が可能です。半解凍でシャーベットのように食べたり、加熱調理に使用することをおすすめします。